カラヴァッジョが札幌・名古屋・大阪にやってきた
激的な光と影の表現が特徴で後世の画家にも多大な影響を与えたバロックの巨匠・カラヴァッジョの展覧会「カラヴァッジョ展」が札幌・名古屋・大阪にて開催されます。
※2019年12月26日(木)~あべのハルカス美術館に巡回予定
日本初公開となる『ゴリアテの首を持つダヴィデ』や『病める少年バッコス』、2016年に国立西洋美術館で開催されたカラヴァッジョ展でも注目を集めた『法悦のマグダラのマリア』など、3会場あわせ約10点のカラヴァッジョ作品や帰属作品が、カラヴァッジョに影響を受けた画家たちの作品とともに展示される展覧会です。
東京でのカラヴァッジョ展開催がないことに落胆する声や、日本初来日となるカラヴァッジョ作品を含む展示作品の来日遅延など、開催前から展示作品以外の部分でも話題を呼んだ今回のカラヴァッジョ展。各会場ごとの展示作品や見どころなども合わせてご紹介します。
カラヴァッジョ作品の特徴と人物像
光と影コントラストの魔術師 カラヴァッジョ作品の特徴
カラヴァッジョ作品の特徴といえば、リアルな描写と光と影が織り成す強いコントラスト表現。作品の一部を強い光で照らして際立たせる「テネブリズム」と呼ばれる技法は、カラヴァッジョの作品をきっかけに広く普及しました。
カラヴァッジョ作品が放つ激的でドラマティックな表現力は、多くの画家がカラヴァッジョ風の作品を生み出すきっかけとなっただけでなく、ルーベンスやベラスケスなど後世の巨匠と呼ばれる画家たちにも多大な影響を与えたことが知られています。
生々しすぎる?賛否両論 カラヴァッジョの宗教画
カラヴァッジョの実力が広く評価されたのは、教会礼拝堂のために描いた宗教画『聖マタイの召命』『聖マタイの殉教』からでした。強い光の表現にこだわったカラヴァッジョの宗教画は、まるで目の前に聖人がいるかのようなリアルな表現が話題を呼びますが、聖人を聖人にふさわしくない職業・身分の低い生身の人間として描くこともあったため、教会から受け取りを許可されたり、「宗教を冒涜している」と批判されることもありました。
波乱万丈なカラヴァッジョの生涯
13歳で画家の道を志したカラヴァッジョ(ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ)は、20代でローマ・カトリック教会の枢機卿に才能を認められると、『ホロフェルネスの首を斬るユディト』『エマオの晩餐』『キリストの埋葬』など次々と話題作を描き、一躍スター画家に。
しかし、激しい気性の持ち主だったカラヴァッジョは、スター画家となってからもトラブルが多く、35歳のときには賭博がきっかけで友人を刺殺…ヨーロッパを転々と逃げ回ることになります。逃亡先でも『法悦のマグダラのマリア』『洗礼者聖ヨハネの斬首』『ゴリアテの首を持つダヴィデ』など絵を描き続けたカラヴァッジョでしたが、旅の途中、38歳の若さで帰らぬ人となりました。カラヴァッジョの生涯は、作品同様にある意味ドラマティックなものだったといえるかもしれません。
↓カラヴァッジョの生涯や代表作をもっと詳しく

カラヴァッジョ展の見どころ解説
現存作品が少ないカラヴァッジョ作品から約10点が集結
若くして亡くなったバロックの巨匠・カラヴァッジョの現存作品は60点あまり(カラヴァッジョ作かもしれない帰属作品をあわせると70点強)。礼拝堂や祭壇などのために描かれた作品は移動させることが困難なため、日本に運びこめる作品数は多くありません。今回の展覧会はカラヴァッジョ作品をまとめて鑑賞できる絶好のチャンスです。
カラヴァッジョの人生と共に歩んだ作品の変遷
画家になった当初は、静物画や柔らかなタッチの作品も描いていたカラヴァッジョ。今回のカラヴァッジョ展には、カラヴァッジョが強い光と影の表現を伴う宗教画を描き始める以前の『リュート弾き』や『病めるバッコス(札幌限定)』も展示されています。この時期のカラヴァッジョ作品に見られる「人物に添えられた静物」にも注目です。
画家としての円熟期を経て、最後の自画像といわれる『ゴリアテの首を持つダヴィデ(名古屋限定)』、最後まで手元に残していたといわれる『洗礼者聖ヨハネ』など、カラヴァッジョの人生と共に変化を辿っていった作品のタッチや表現手法を見比べられるのも今回の展覧会の醍醐味といえるでしょう。
カラヴァッジョ展 展示されるカラヴァッジョ作品
カラバッジョ展 いずれの会場にも展示される作品一覧
札幌・名古屋・大阪3会場あわせて13点のカラヴァッジョ作品が来日予定となっていた今回のカラヴァッジョ展。そのうち3点が来日中止となり、札幌・名古屋・大阪3会場いずれにも展示される作品は6点となりました。カラヴァッジョ展3会場(札幌・名古屋・大阪)いずれにも展示される予定の作品は以下の通りです。
・カラヴァッジョ作『洗礼者聖ヨハネ』1609–1610年 ボルゲーゼ美術館
・カラヴァッジョ作『聖セバスティアヌス』1606年 個人蔵
・カラヴァッジョ作『聖アガピトゥスの殉教』1606–1609年 司教区博物館
・カラヴァッジョ作『歯を抜く人』1608–1610年頃 パラティーナ美術館
・カラヴァッジョ作『リュート弾き』1596–1597年頃 個人蔵日本初公開!
※大阪会場展示作品は今後の最新情報をご確認ください
会場別カラヴァッジョ作品一覧(札幌・名古屋・大阪)
札幌・名古屋・大阪で開催される今回のカラヴァッジョ展には、それぞれの会場でしか鑑賞できない「限定展示作品」が存在しています。札幌・名古屋・大阪会場それぞれ1点ずつ、札幌・名古屋のみ展示作品が1点となる各会場限定展示作品は以下の通りです。
カラヴァッジョ展(札幌)限定『病める少年バッコス』※展示終了
日本初公開!
カラヴァッジョ作『病める少年バッコス』1593年頃 ボルゲーゼ美術館
ローマに出てきたカラヴァッジオが手がけた作品。見るからに肌の血色が悪く病んでいる少年のモデルは若き日のカラヴァッジョだといわれています。
カラヴァッジョ展(名古屋)限定『ゴリアテの首を持つダヴィデ』
日本初公開!
カラヴァッジョ作『ゴリアテの首を持つダヴィデ』1609年 ボルゲーゼ美術館
カラヴァッジョ最後の自画像といわれる作品。ダヴィデに斬り落とされた生首に当てはめられたカラヴァッジョの表情は、自らの運命を嘆いているとも、過ちを悔いて反省している様を枢機卿に訴え殺人の恩赦を嘆願するためのものだとも。
カラヴァッジョ展(大阪)限定『執筆する聖ヒエロニムス』
カラヴァッジョ作『執筆する聖ヒエロニムス』1605-1606年 ボルゲーゼ美術館
書物に目を落とし羽根ペンを走らせているのは聖書をラテン語に翻訳した聖人ヒエロニムス。カラヴァッジョが斬りつけた公証人との和解を仲介したボルゲーゼ枢機卿へのお礼として描かれたといわれる作品です。
カラヴァッジョ展(札幌・名古屋)『メドゥーサの盾』
カラヴァッジョ作『メドゥーサの盾(第一ヴァージョン)』1596–1598年頃 個人蔵
見た者を石に変えてしまうギリシャ神話の怪物メドゥーサがペルセウスに斬首されたシーンが湾曲した盾の表面に描かれています。ウフィツィ美術館所蔵の別バージョンのメドゥーサも存在します。
カラヴァッジョ展 展示中止となった作品一覧
今回のカラヴァッジョ展は、巡回展トップバッターとなる札幌会場の開催前に「イタリアから貸し出されるはずの作品が届かない」というトラブルがありました。当初は「一部展示作品の到着遅延」とのことだったのですが、それら作品の来日は不可能となり、その後「展示中止」のアナウンスが…。
来日が叶わず展示中止となったカラヴァッジョ作品は『女占い師(札幌限定)』『瞑想するアッシジの聖フランチェスコ』『ホロフェルネスの首を斬るユディト(大阪限定)』の3点。このうち『女占い師』と『ホロフェルネスの首を斬るユディト』の2点は日本初公開になるはずだったので非常に残念です。

来日中止になってしまったカラヴァッジョ作品3点
『女占い師』『瞑想するアッシジの聖フランチェスコ』『ホロフェルネスの首を斬るユディト』
カラヴァッジョ展 巡回展スケジュール
カラヴァッジョ展は、北海道立近代美術館を皮切りに、名古屋市美術館、あべのハルカス美術館を巡回します。人気のカラヴァッジョ展も残すところ大阪・あべのハルカス美術館のみとなりました。
北海道立近代美術館:2019年8月10日(土)~10月14日(月・祝)
名古屋市美術館:2019年10月26日(土)~12月15日(日)
あべのハルカス美術館:2019年12月26日(木)~2020年2月16日(日)
カラヴァッジョ展 混雑予想・混雑状況
カラヴァッジョ展(大阪)の混雑予想
カラヴァッジョ展(大阪会場・あべのハルカス美術館)は、冬休みに入ってすぐの2019年12月26日~開催される予定です。年末年始、会期終了間際のバレンタイン前後は混雑が予想されます。
カラヴァッジョ展(大阪)の混雑の度合いは、展覧会の目玉作品であった『ホロフェルネスの首を斬るユディト』の来日中止が来館者数にどの程度影響するかで変わってくるでしょう。『ホロフェルネスの首を斬るユディト』の来日中止が報道されてからまだ日が浅いため、お出かけを予定されていた皆様に周知されるのはもう少し先になると思われます。
混雑状況の詳細は開催時期に改めてレポートします。
【終了】カラヴァッジョ展(名古屋)の混雑状況
名古屋市美術館で開催中のカラヴァッジョ展は、現在のところ平日・休日ともに大きな混雑や行列、入場制限は見られません。人気が集中するカラヴァッジョ作品の前に多少の混雑が見られる程度で、少し待てば前列での鑑賞が可能です。
どの展覧会にも言えることですが、会期終盤は混雑が予想されるので、ゆったり鑑賞されたい方は2019年12月15日の会期終了間際を避けての来館がおすすめ。できれば11月中のうちに名古屋市美術館へのお出かけを予定されておくと良いでしょう。
カラヴァッジョ展の感想・口コミ・評判
カラヴァッジョ展(名古屋) 評判・口コミ
カラヴァッジョ展。
カラヴァッジョと彼に影響を受けた画家の展示だったけど、カラヴァッジョの画力と影響力たるや。明暗のコントラストが強い作風は好みだった。
あとは、カラヴァッジョ本人の性格はかなり難アリだっんだね…っていうのがよくわかった。 pic.twitter.com/WSBFdJngxG— ooaco (@ooaco) November 14, 2019
カラヴァッジョ展行ってきました
不良おじさんの一生がここにあった pic.twitter.com/gOKqjLdI2R— みづは (@miz_iro_ff14) November 14, 2019
名古屋市美術館のカラヴァッジョ展、東京ほど混雑してないし、満足するまでずーっと絵も見れたし、ヤマザキマリさんの描いたカラヴァッジョがイケオジすぎるしwほんと〜〜に良かった!
カラヴァッジョの絵は生きてるなぁって思います。 pic.twitter.com/VuuVAVq7xe— ハルキ (@kaneko_murmur) November 9, 2019
劇的な構図で3D感もすごい。目が離せない。ヨダレや涙等も生々しい。静物画も素敵!キャプションやヤマザキマリさんのナビゲートも良かった。
展示自体は、贅沢にもカラヴァッジョを独り占めできる時間が多々あり、名古屋に観に行けて本当に良かったです😊✨#カラヴァッジョ展#Bura_Bi_Now pic.twitter.com/TwW4iyurZz— ミモザ (@mimosa6260320) November 4, 2019
カラヴァッジョ展(大阪)開催概要・チケット情報
カラヴァッジョ展(大阪)開催概要
- 展覧会名:カラヴァッジョ展(大阪)
- 開催会場:あべのハルカス美術館
- 開催期間:2019年12月26日(木)~2020年2月16日(日)
- 開館時間:火~金/午前10時~午後8時、月・土日祝/午前10時~午後6時まで
※入場は閉館の30分前まで
※開館・閉館時間が異なる曜日あり - 休館日:12月31日(火)、1月1日(水)、14日(火)
※休館日が追加・変更になる場合あり - 公式サイト:
カラヴァッジョ展
カラヴァッジョ展(大阪)のチケット
チケット料金
前売券
一般:1,400円
大学・高校生:1,000円
中学・小学生:400円
前売券の販売は11月11日(月)から12月25日(水)まで
当日券
一般:1,600円
大学・高校生:1,200円
中学・小学生:600円
※小学生未満は無料
チケット購入方法
カラヴァッジョ展(大阪)の前売券は、スマホ利用OK・手数料無料のカラヴァッジョ展公式オンラインチケットが便利です。チケットぴあ(Pコード:769-746)、ローソンチケット(Lコード:56900)、セブンチケット、イープラスほか、あべのハルカス美術館ミュージアムショップ、近鉄駅営業所などでも購入できます。
詳しくはカラヴァッジョ展公式サイトのチケット情報からご確認ください。
カラヴァッジョ展公式サイト
チケット情報:http://m-caravaggio.jp/ticket.html#osaka
カラヴァッジョ展(大阪)会場アクセス
あべのハルカス美術館
〒545-0052
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1丁目1−43

【終了】カラヴァッジョ展(名古屋)開催概要・チケット情報
カラヴァッジョ展(名古屋)開催概要
- 展覧会名:カラヴァッジョ展(名古屋)
- 開催会場:名古屋市美術館
- 開催期間:2019年10月26日(土)~12月15日(日)
- 開館時間:午前9時30分~午後5時
※金曜日は午後8時まで
※入場は閉館の30分前まで
※開館・閉館時間が異なる曜日あり - 休館日:毎週月曜日
※11月4日(月)開館、11月5日(火)閉館
※休館日が追加・変更になる場合あり - 公式サイト:
カラヴァッジョ展
カラヴァッジョ展(名古屋)のチケット
チケット料金
前売券・早割券の取り扱いは終了しました
当日券
一般:1,600円
大学・高校生:1,000円
中学生以下:無料
障害のある方、難病患者の方は手帳の提示により本人と付添者2名まで当日料金の半額
チケット購入方法
カラヴァッジョ展(名古屋)当日券の購入には、チケットぴあ(Pコード:769-755)、ローソンチケット(Lコード:42319)、セブンチケット、イープラス、主なコンビニエンスストア、中日新聞販売店、中日プラスなどが利用できます。
詳しくはカラヴァッジョ展公式サイトのチケット情報からご確認ください。
カラヴァッジョ展公式サイト
チケット情報:http://m-caravaggio.jp/ticket.html#nagoya
チケット割引・クーポン情報
カラヴァッジョ展(名古屋)では、当日窓口で年間パスポート「名古屋市美術館常設展定期観覧券」を提示するとチケット料金が団体料金に、名古屋市交通局発行の「ドニチエコきっぷ」「一日乗車券」で来館するとチケット料金が100円割引になります。
※いずれも他の割引サービスとの併用不可
割引サービスを利用する場合は、名古屋市美術館の窓口でチケットを購入しましょう。
カラヴァッジョ展(名古屋)会場アクセス
名古屋市美術館
〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄2丁目17−25 芸術と科学の杜・白川公園内
