窓辺で手紙を読む女
作品解説
『窓辺で手紙を読む女』は、ヨハネス・フェルメールの風俗画。1657年頃に制作された油彩画で、現在はドイツのアルテ・マイスター絵画館に所蔵されています。
『窓辺で手紙を読む女』の窓から差し込む光の表現は、光の魔術師とまで言われるようになったフェルメールの光の表現の始まりと言って良いでしょう。フェルメールはこの作品以降、室内の光の表現にこだわりを発揮していきます。
オランダが貿易や商業の大国として栄え、郵便制度が発達すると、もともと識字率が高く教養が高い人も多かったオランダ市民のあいだで手紙のやりとりがブームになりました。航海で海外に出て行く男性も多かったため、手紙で愛する人の無事を知ることは、女性たちにとってとても大切なことだったのです。
手紙という流行の通信メディアに注目したフェルメールは、『窓辺で手紙を読む女』をきっかけに、『青衣の女』『手紙を書く女』『恋文』『手紙を書く婦人と召使い』など手紙のやりとりを主題とした作品を何点も描きました。
鑑賞のポイント
『窓辺で手紙を読む女』のモデルとなっている女性の表情は、手紙に視線を落とす横顔と、窓ガラスに映りこんだ斜めからの顔、2つの角度から見ることができます。手紙を読んでいる女性の表情は、頬を紅潮させているようにも、不穏な知らせに沈んでいるようにも見え、鑑賞者である私たちは手紙の内容への想像力をかきたてられます。
もみ上げ手前にくるくるとウェーブがかかり、後ろはカッチリとまとめられた髪は当時のオランダの流行スタイル。髪のところどころに白い粒々した光が見えるのはポワンティエ技法によりフェルメールが金髪の輝きを表現したものです。
画面を横に区切る厚いタペストリーのかかったテーブルにも女性の髪と同様にポワンティエ技法で煌きが加えられています。
くしゃくしゃに寄せられたタペストリーのひだとテーブルの上に転がる果物は、カーテンやテーブルで縦横に整然と区切られた画面にリズムを与える効果があります。果物には性の意味合いもあることから、女性が読んでいる手紙は愛する人からのもので、果物が転がる様子は二人の関係が崩れていくことを暗示しているとも考えられます。
部屋の手前にかかるカーテンは女性と私たち鑑賞者を区切るポイントとなり、手紙を読む女性を覗き見するような効果と、部屋の奥行き感を強調する効果があります。カーテンをめくって部屋の奥を覗き込む構図は『絵画芸術』『信仰の寓意』などにも見られます。
基本情報
フェルメール展・開催中
2018年秋より東京・上野にてフェルメール展開催中、2019年2月からは大阪に巡回予定です。フェルメール展の展示作品や混雑状況、チケットの購入方法など別記事にまとめましたので、お出かけの参考になさってください。
●フェルメール展
上野の森美術館 2018年10月5日~2019年2月3日
大阪市立美術館 2019年2月16日~2019年5月12日
ヨハネス・フェルメールとは
フェルメールの生涯・作品・鑑賞ポイント
ヨハネス・フェルメールは、光の魔術師とも呼ばれるバロック美術の巨匠です。柔らかな光の溢れる油彩画を得意とし、代表作に『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』『デルフトの眺望』などがあります。フェルメールは現存する作品が大変少なく、寡作の画家としても知られます。
YouTube動画 フェルメール全作品集
ヨハネス・フェルメールの全作品を4分にまとめた動画をYouTubeにアップしました。動画は今後も画家別に作っていく予定です。よろしければチャンネル登録をお願いいたします。