『青衣の女』ヨハネス・フェルメール

青衣の女

作品解説

ヨハネス・フェルメール『青衣の女』ヨハネス・フェルメールの生涯と全作品はこちら

青衣の女』は、窓辺の光のなかで手紙を読む女性が描かれたヨハネス・フェルメールの風俗画。『手紙を読む女』『手紙を読む青衣の女』とも。1663年~1664年頃に制作された油彩画で、現在はオランダのアムステルダム国立美術館に所蔵されています。

女性の後ろにかかる世界地図は『士官と笑う娘』と同じもの。椅子が2脚描かれていることから、作品のモデルである青衣の女の夫は航海に出て家を空けており、青衣の女は夫の身を案じながら手紙を読んでいると考えられます。

手紙はフェルメールの6作品に登場するモティーフで、手紙を読む女性をモデルにした作品としては、他に『窓辺で手紙を読む女』があります。

鑑賞のポイント

作品解説_青衣の女3

届いた手紙に視線を落とす青衣の女。手紙を持つ両手や少し開いた口元からは、集中して手紙を読む女性の緊張感が伝わってくるようです。

青衣の女の後ろの壁には世界地図が掛けられています。オランダ黄金時代と呼ばれ貿易大国であった17世紀オランダでは、仕事で海を渡り国外へと出て行く男性が多く、女性の夫も海を渡った遠くの地にいるのだろうと想像できます。青衣の女が読んでいる手紙は夫から届いたものなのでしょう。

光の魔術師と呼ばれるフェルメールにしては窓辺の表現が少し薄暗く、また女性が着ている衣服を寝巻きとする説があることから考えると、『青衣の女』が手紙を読んでいる時間帯は朝でしょうか。女性は寝起きの寝巻き姿のまま、身繕いもせずに夫からの手紙を読んでいるのかもしれません。

作品解説_青衣の女1テーブルの上には真珠のネックレスと、開けられた封筒。散らかったテーブルや紙の端が浮き上がった封筒からは、女性が慌てて手紙を開封している姿が想像できます。

構図に安定感を与えるフェルメールブルー

作品解説_青衣の女2『青衣の女』は茶色の衣服に青衣の羽織物(ガウン)をまとっています。青衣に使われているのは、ラピスラズリの主成分であるウルトラマリンを顔料にしたウルトラマリンブルーフェルメールブルーとも呼ばれるこのブルーをフェルメールは好んで使いました。

フェルメールブルーで描かれた青衣の膨らんだシルエットは、キャンバスの中央で三角形を形作っており、構図に安定感をもたらす効果を担っています。色数を抑えて描かれた『青衣の女』のなかで、手紙を読む女性が静かに且つしっかりと浮かび上がってくるようです。

青衣の女のモデルは誰?

「青衣の女は妊婦であり、モデルは妻・カタリーナ」という説があります。

子供が14人も居た子だくさんなフェルメール一家にとって、妻・カタリーナの妊婦姿が日常であったことは間違いないでしょう。また、『青衣の女』を見たゴッホが手紙に「美しい身重の婦人」と記していることからも、鑑賞者がモデルを妊婦として捉えるのは自然なことだと考えられます。

ただ、当時のオランダではふっくらと膨らんだシルエットの服が流行していたことから、『青衣の女』のモデルが妊婦なのかどうか、妻・カタリーナなのかどうか、実際のところははっきりしていません。

基本情報

作品名:青衣の女
Title:Woman in Blue
Artist:Johannes Vermeer
制作年:1663年-1664年頃
種類:キャンバス、油彩
寸法:46.6cm×39.1cm
所有者:アムステルダム国立美術館(オランダ)

ヨハネス・フェルメールとは

フェルメールの生涯・作品・鑑賞ポイント

ヨハネス・フェルメールは、光の魔術師とも呼ばれるバロック美術の巨匠です。柔らかな光の溢れる油彩画を得意とし、代表作に『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』『デルフトの眺望』などがあります。フェルメールは現存する作品が大変少なく、寡作の画家としても知られます。

ヨハネス・フェルメールの生涯と作品解説
ヨハネス・フェルメールは名画『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』などの代表作があるバロック期のオランダ人画家です。現存する絵画30数点という寡作の画家でも知られるフェルメールの生涯や絵画技法、全作品を一挙紹介。柔らかい光に包まれた市民の日常を淡々と描き出すフェルメール作品の鑑賞ポイントもわかりやすく解説します。

YouTube動画フェルメール全作品集

ヨハネス・フェルメールの全作品を4分にまとめた動画をYouTubeにアップしました。動画は今後も画家別に作っていく予定です。よろしければチャンネル登録をお願いいたします。

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