『ワイングラスを持つ娘(二人の紳士と女)』ヨハネス・フェルメール

ワイングラスを持つ娘

作品解説

ヨハネス・フェルメール『ワイングラスを持つ娘(2人の紳士と女)』ヨハネス・フェルメールの生涯と全作品はこちら

ワイングラスを持つ娘』は、ワインを勧める男と笑顔の女を描いたヨハネス・フェルメールの風俗画。『二人の紳士と婦人』『二人の紳士と女』とも。1659年~1660年頃に制作された油彩画で、現在はドイツのヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館に所蔵されています。

男性と女性がワインを飲む場面を描いた絵画はオランダではポピュラーなもの。男性が女性を誘惑する様子を暗示していることから、『ワイングラスを持つ娘』はワインを使って男が娘を誘惑する場面を描いていると考えられます。

『ワイングラスを持つ娘(2人の紳士と女)』の床の四角いタイル、窓から差し込む光、窓のステンドガラスは『紳士とワインを飲む女』と共通のもの。このほか男女とワインを描いたフェルメール作品に『士官と笑う娘』があります。

鑑賞のポイント

作品解説_わいんグラスを持つ娘2ワインは男女の色恋・誘惑を暗示するアイテム。

鑑賞者である私たちに向かって歯を見せて笑っている娘の右手にはワイングラス。中身のワインにはまだ口が付けられていません。娘の頬(ほうれい線あたり)の様子からは、引きつった作り笑いとも取れ、娘が男性に勧められるワインを飲んで酔ってしまってもいいのかどうか戸惑っていると解釈できます。

男は娘のかなり近くまで顔を寄せてニヤけた表情を見せており、娘のワイングラスを口に運ばせようとするかのように娘の右手に自らの手を添えています。下心を持って娘にワインを勧めている心の内が透けているようです。

解説_わいんグラスを持つ娘1

テーブルの奥に座る男性は頬杖をついて不貞腐れたようにそっぽを向き、手前の男女のやりとりには関心がない様子。頬杖は憂鬱(メランコリー)を暗示する姿勢です。ワインを勧められている娘に振られたのか、あるいは感心のない素振りをしているだけなのか。娘にワインを勧める男のにやけた表情と興味をない様子を装っている奥の男の対比が印象的です。

奥に座っているのは地位の高い男性で、娘にワインを勧めている手前の男は奥の男性に娘を取り持つ役割を担っているという解釈もあります。

テーブルに置かれた果物は性の象徴。オレンジの1つは皮が剥かれており、貞節を守るか、男の誘いに乗るのか、娘の心の迷いを表していると考えられます。

白いワイン入れは『眠る女』『紳士とワインを飲む女』『音楽の稽古』などにも登場するフェルメール作品お馴染みのアイテムです。

作品解説_わいんグラスを持つ娘3窓のステンドグラスには節制をあらわす馬具や定規を持った女性の柄が描かれています。これは『紳士とワインを飲む女』と同じデザイン。道を踏み外すことがないようにという暗示、男にワインを勧められている娘への戒めと解釈できます。

解説_わいんグラスを持つ娘4『ワイングラスを持つ娘』の画中画は、大きな白い襟の服を着用した男の肖像画。この肖像画のモデルが誰であるか明らかになっていませんが、当時のオランダは肖像画が大変盛り上がった時期だったことから、この家に関係する人物の肖像画という設定で描かれたものかもしれません。

肖像画の男性の視線は、ワインを飲もうとしている男女にじっと注がれています。

基本情報

作品名:ワイングラスを持つ娘(二人の紳士と女)
Title:The girl with a wineglass
Artist:Johannes Vermeer
制作年:1659年-1660年頃
種類:キャンバス、油彩
寸法:77.5cm×66.7cm
所有者:ヘルツォーク・アントン・ウルリッヒ美術館(ドイツ)

ヨハネス・フェルメールとは

フェルメールの生涯・作品・鑑賞ポイント

ヨハネス・フェルメールは、光の魔術師とも呼ばれるバロック美術の巨匠です。柔らかな光の溢れる油彩画を得意とし、代表作に『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』『デルフトの眺望』などがあります。フェルメールは現存する作品が大変少なく、寡作の画家としても知られます。

ヨハネス・フェルメールの生涯と作品解説
ヨハネス・フェルメールは名画『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』などの代表作があるバロック期のオランダ人画家です。現存する絵画30数点という寡作の画家でも知られるフェルメールの生涯や絵画技法、全作品を一挙紹介。柔らかい光に包まれた市民の日常を淡々と描き出すフェルメール作品の鑑賞ポイントもわかりやすく解説します。

YouTube動画 フェルメール全作品集

ヨハネス・フェルメールの全作品を4分にまとめた動画をYouTubeにアップしました。動画は今後も画家別に作っていく予定です。よろしければチャンネル登録をお願いいたします。

error:Content is protected