『手紙を書く女』ヨハネス・フェルメール

手紙を書く女

作品解説

ヨハネス・フェルメール『手紙を書く女』ヨハネス・フェルメールの生涯と全作品はこちら

手紙を書く女』は、明るい光のなかで手紙を書く女性を描いたヨハネス・フェルメールの風俗画。1665年頃に制作された油彩画で、現在はアメリカのワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されています。

フェルメールが生きた時代のオランダは貿易と商業で栄えた大国。市民の識字率が高く郵便制度が誕生・発達したことで、市民のあいだで手紙やラブレターのやりとりがブームになりました。フェルメールの作品にも手紙を読み書きする女性が繰り返し登場しており、この『手紙を書く女』と同じ手紙を書く女性を主題にした作品には『手紙を書く婦人と召使い』があります。

鑑賞のポイント

フェルメール『手紙を書く女』鑑賞ポイント

美しくまとめられた髪や大粒の真珠の耳飾りから、『手紙を書く女』は裕福な暮らしをしている上流階級の女性を描いていることが分かります。

壁に掛けられた画中画は鮮明ではなく、はっきりしたことは分かっていませんが、楽器のヴィオラ・ダ・ガンバが描かれているのではないかと推測されています。楽器が愛の象徴であると考えると、女性が書いている手紙は恋文なのかもしれません。
 
フェルメールの描く風俗画には手紙の読み書きをしている女性が何度も登場していますが、手紙から視線を外し、鑑賞者である私たちを見つめているのは、唯一この『手紙を書く女』のみ。故に、この作品を肖像画と捉え、『手紙を書く女』のモデルはフェルメールの妻・カタリーナであるとする専門家もいます。

フェルメール『手紙を書く女』羽根ペンと真珠のアクセサリー女性が羽根ペンで手紙を書いているテーブルの上には真珠の首飾りと思われるアクセサリーや宝石箱が見えます。真珠の首飾りや宝石箱の細工にはポワンティエという点描技法が用いられており、白い点によるハイライト効果でキラキラと光を反射しているように見えます。

フェルメール『手紙を書く女』の構図

『手紙を書く女』を分割し、構図の秘密を探ってみましょう。

壁にかかる画中画の幅はキャンバス全体の幅の約2/3、テーブルの高さはキャンバスの全体の高さの約1/3、テーブルの幅はキャンバス全体の幅の1/2、椅子の背もたれの上端はキャンバス全体の高さの約1/2に配置されています。キャンバスの中心は女性が右耳に付けている真珠の耳飾りの辺りです。

フェルメールらしい綿密に計算された構図のなかで、端が乱れたテーブルクロスが柔らかいポイントになっています。

フェルメール『手紙を書く女』黄色のアーミン『手紙を書く女』が着ている黄色い服は、オコジョの毛皮で縁取られたアーミンと呼ばれるコート。黄色いアーミンを着た女性の体は三角形のシルエットを形作っており、構図に安定感を与える役割を担っています。

フェルメールの作品に繰り返し登場するこの黄色いアーミンは、実際にフェルメールが所有していた服だということが、フェルメール死去後の財産目録から判明しています。

計算された構図のなかに、真珠の耳飾り&首飾り、黄色いアーミン、手紙、ライオンの彫刻が付いた椅子など、フェルメールの作品でしばしば見られるモティーフが散りばめられた作品です。

基本情報

作品名:手紙を書く女
Title:A lady writing
Artist:Johannes Vermeer
制作年:1665年頃
種類:キャンバス、油彩
寸法:45cm×39.9cm
所有者:ワシントン・ナショナル・ギャラリー(アメリカ)

フェルメール展

手紙を書く女』は2018年秋スタートのフェルメール展に展示されます。この機会にぜひ本物の名画をご覧ください。

フェルメール展
上野の森美術館 2018年10月5日~2019年2月3日
大阪市立美術館 2019年2月16日~2019年5月12日

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ヨハネス・フェルメールとは

フェルメールの生涯・作品・鑑賞ポイント

ヨハネス・フェルメールは、光の魔術師とも呼ばれるバロック美術の巨匠です。柔らかな光の溢れる油彩画を得意とし、代表作に『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』『デルフトの眺望』などがあります。現存する作品が大変少なく、寡作の画家としても知られます。

ヨハネス・フェルメールの生涯と作品解説
ヨハネス・フェルメールは名画『真珠の耳飾りの少女』『牛乳を注ぐ女』などの代表作があるバロック期のオランダ人画家です。現存する絵画30数点という寡作の画家でも知られるフェルメールの生涯や絵画技法、全作品を一挙紹介。柔らかい光に包まれた市民の日常を淡々と描き出すフェルメール作品の鑑賞ポイントもわかりやすく解説します。

YouTube動画 フェルメール全作品集

ヨハネス・フェルメールの全作品を4分にまとめた動画をYouTubeにアップしました。動画は今後も画家別に作っていく予定です。よろしければチャンネル登録をお願いいたします。

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