ムンク展―共鳴する魂の叫び・東京都美術館
2018年10月27日、東京・上野の東京都美術館にムンクがやってきます。エドヴァルド・ムンクは、世紀末美術のなかでも象徴主義の芸術家に分類されるノルウェー出身の画家です。
ムンクは自身の作品を手放したがらなかった画家としても知られており、ムンクが死去した際には、ムンクの所有作品すべてがノルウェーのオスロ市に遺贈されました。今回、東京都美術館で開催されるムンク展は、エドヴァルド・ムンクの絵画作品を半数以上所有しているオスロ市ムンク美術館がバックアップ、ムンク作品約100点(うち油彩画約60点)が公開されます。
ムンクの代名詞である絵画作品『叫び』には、5パターンのバージョン(パステル画が2点、油彩画、リトグラフ、テンペラ画がそれぞれ1点)あり、今回ムンク展のために来日するテンペラ画の『叫び』は日本初公開です。

ムンク展の見どころ
ムンク代表作『叫び』と生命のフリーズ
ムンクの代表作『叫び』を始め、叫びと同じ構図で描かれた『絶望』、『吸血鬼』、『マドンナ』、『灰』といった作品は、ムンクの「生命のフリーズ」という連作(作品群)に位置づけられています。
ここでの「フリーズ」は凍る・停止と言った意味ではなく、建築物の柱にグルッと取り囲むように施された帯状の装飾を指しており、ムンクは「生命のフリーズ」を愛や死など4つのセクションから成る詩であると表現しました。
今回のムンク展では、この生命のフリーズにあたる作品もいくつか見ることができます。
人間の内面をえぐり視覚化するムンクの自画像
『叫び』『マドンナ』などの代表作で知られるムンクは、自画像も多く残しています。ムンクの自画像は、描かれた時期や手法によって、それぞれがどの作品も似ていない個性の強い作品になっているのが興味深いところです。今回のムンク展にも自画像が展示されるので見比べてみてください。
晩年のムンクは見たままを描くことも
ムンクというと、まず始めに人間の苦悩や絶望、恐怖といった人間の内面を表現した作品が思い浮かぶ方も多いと思いますが、常に生と死を問い続けた画家ムンクは、生命感溢れる作品や、子供、動物、風景などを見たまま明るく表現した作品も残しました。晩年には大学の講堂の壁画なども手がけています。
今回の展覧会には晩年の作品『太陽』なども展示されます。

ムンク展・作品紹介
『叫び』と同じ構図で描かれた『絶望』、躍動感が素晴らしい『疾駆する馬』など、ムンク展の展示予定作品から何点かピックアップしてご紹介します。
ムンク『叫び』
日本初公開
作品名:叫び
制作年:1910年
所有者:ムンク美術館
ムンク『絶望』
作品名:絶望
制作年:1894年
所有者:ムンク美術館
ムンク『地獄の自画像』
作品名:地獄の自画像
制作年:1903年
所有者:ムンク美術館
ムンク『マドンナ』
作品名:マドンナ
制作年:1895年/1902年
所有者:ムンク美術館
ムンク『赤い蔦』
作品名:赤い蔦
制作年:1898-1900年
所有者:ムンク美術館
マラーの死
作品名:マラーの死
制作年:1907年
所有者:ムンク美術館
ムンク『疾駆する馬』
作品名:疾駆する馬
制作年:1910-1912年
所有者:ムンク美術館
ムンク『生命のダンス』
作品名:生命のダンス
制作年:1925年
所有者:ムンク美術館
ムンク『自画像、時計とベッドの間』
作品名:自画像、時計とベッドの間
制作年:1940-1943年
所有者:ムンク美術館
ムンク展の行列・混雑予想
芸術の秋、上野の混雑状況
上野公園内にある美術館では、フェルメール展(上野の森美術館)、ルーベンス展(国立西洋美術館)が開催中です。東京国立博物館や国立科学博物館の企画展、上野動物園のパンダ”シャンシャン”、銀杏並木の紅葉などを目当てに上野公園を訪れる方も多く、また秋は遠足や就学旅行、美術館巡りのバスツアーなども盛んなため、秋の上野は平日・休日問わず一日中混雑しています。
一日のなかで複数の展覧会をハシゴされる方もいらっしゃるので、どこの美術館・博物館も相当の人出です。
私も実際にムンク展に出かけてきましたが(後述)、上野公園内は大変混雑していました。
ムンク展の混雑予想
ムンク展の会場は東京都美術館。東京都美術館が企画する展覧会は毎回大きな話題を呼び、大勢の入場者数を誇っています。
今回のムンク展も、誰もが知ると言っても過言ではない超有名な『叫び』が来日すること、テレビや雑誌のプッシュが考えられることなどから、かなりの混雑が予想されます。
避けたほうが良い混雑予想日・対策
東京都美術館には、平日でも猛烈に混雑する日が存在します。
それは毎月第3水曜日のシルバーデー。
65歳以上の方であれば企画展も含めて入館料無料というお得すぎる日です。ムンク展の開催期間中ですと、11月21日(水)、12月19日(水)、1月16日(水)がシルバーデーに該当します。この日は朝から65歳以上の方で行列ができますので、ゆっくり鑑賞されたい方は、シルバーデーを外してお出かけするか、65歳以上の皆様の多くが帰宅される遅い時間の入館をオススメします。
また、毎月第3土曜日、翌日曜日の家族ふれあいの日は、「18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住2名まで)」のチケットが企画展も含めて半額です。週末にお出かけを予定されるのであれば、この日は避けたほうが無難です。
上記以外では、週末は11月23日~25日、12月22日~24日の3連休、平日は学生さんが冬休みに入る12月末~1月初旬が混雑すると予想しています。
混雑する休日しか時間が取れないという方は、閉館前の時間ですと比較的空いているかと思います。東京都美術館は金曜日などに夜間開館日を設けているので、平日の夜間を狙って出かけるオススメです。
私は都内の展覧会に出かけることが多いのですが、どの展覧会も会期終了間際は駆け込み鑑賞の皆様で昼夜・平日休日問わず混雑します。会期前半のうちに鑑賞するのが最もストレスが少ないと思います。
ムンク展の混雑状況【実際に見てきました】
ムンク展の行列・混雑状況
東京都美術館で開催中のムンク展は、かなり人気が高く、平日でも混雑が発生しており、チケットの販売窓口に「会場内は混雑しています」という案内札が出ることもしばしばの模様です。
テレビ番組でも度々ムンク展が取り上げられています。
近日ですと
12/9(日)20:00 ~ 日曜美術館(NHK・Eテレ)
12/11(火)7:35 ~朝の!さんぽ道【上野】(テレビ東京)
12/11(火)21:00 ~ぶらぶら美術・博物館(BS日テレ)
がムンク特集。テレビ放送直後は混雑が予想されます。
ムンク展公式Twitterが混雑状況をツイートしていますので、お出かけ前にフォローしておきましょう。
ムンク展『叫び』の混雑状況
私も実際にムンク展に出かけてきましたので、会場内の様子を以下にまとめておきます。私が出かけたのは平日の午前中、開場してから30分くらいのタイミングです。
ムンク展の目玉作品となる『叫び』周辺はかなり混雑していましたが、整列レーンのおかげで少し待てば鑑賞できました。
『叫び』は『不安』『絶望』と並んで展示されており、『赤い蔦』と合わせて4作品で1部屋が割り当てられています。部屋の配置を図にするとこんな感じです。
『不安』『叫び』『絶望』の3作品が展示されている壁の前は柵で仕切られており、左側から2列1方向で進みながらの鑑賞となります。列はゆっくりゆっくり進み続け、立ち止まる方がいらっしゃると係員の方から「1歩ずつ進みながら~」と声がかかります。ちょっと慌しく落ち着かない雰囲気でしたが、人だかりの回避策としては仕方がないのでしょう。列には何回でも並び直せます。
柵の後ろには立ち止まって鑑賞できるエリアもあります。私は身長が平均以上あるので、このエリアからでも作品が見えましたが、お子様や小柄な方は混雑具合によっては厳しいかもしれません。
ムンク展『叫び』以外の混雑状況
私が出かけたときは、入場待ちの行列がムンク展のチケット売り場付近まで伸びており、会場内も平日の展覧会とは思えないほど混雑していました。『叫び』以外で特に混雑を感じたのは、ムンク展入り口付近と『マドンナ』周辺でしょうか。
ムンク展グッズ売り場の混雑状況
ポケモンコラボほかムンク展グッズも大人気で、ムンク展の特設ミュージアムショップは大混雑となっており、会計待ちにも長い行列ができていました。もしお買い物の予定がムンク展の図録のみでしたら、美術館に入ってすぐの常設ミュージアムショップにも在庫がありましたので(念のためムンク展退場前にご確認ください)、そちらに移動されても良いかと思います。
ムンク展フォトスポットの混雑状況
ムンク展の作品展示エリアと特設ミュージアムショップを抜け、エスカレーターを降りた先に、ムンク『叫び』のフォトスポットが用意されています。今回のムンク展で撮影が許可されているのは、こちらのフォトスポットのみです。近くの椅子に腰掛けてしばらく様子を見ていましたが、ムンク『叫び』のフォトスポットは並んでも数人程度の混雑で行列も待ち時間もありませんでした。
フォトスポットはムンク展の会場内に設置されています。ムンク展は再入場が認められていませんので、フォトスポットの利用を予定されている方は、撮影機器を持ってムンク展に入場なさってください。
東京都美術館のムンク展、冬休みに入ると更なる混雑が予想されます。早めのお出かけがおすすめです。
ムンク展・混雑状況 SNSの感想
#art ムンク展@東京都美術館、観るよー 開場前なのにすでにけっこう並んでる…! pic.twitter.com/CF03ZQBmm9
— 実駒/みこま(・×・)11/24 Splash! 東6ゾ29b/11/25 文フリ G-46 (@mkm_) 2018年12月1日
今日は「#東京都美術館」に「#ムンク展」😱を観に来ました😄ムンクの展覧会は’97年の「 #世田谷美術館」以来実に21年ぶりです😌いま9時ですが既にかなりの列が出来てます。#美術館 #絵画 #展覧会 pic.twitter.com/0NLu9qgA6J
— 5年3組魔法METAL (@53M_METAL) 2018年12月1日
ムンク展 pic.twitter.com/ah8RjBZ3Ve
— 内藤瑛亮 (@EisukeNaito) 2018年11月30日
行ってきたー
🙀#ムンク展 #叫び
19時少し前に入ったので1時間ちょっとしか見られなかったけど、混雑は『叫び』以外は十分に鑑賞できる範囲でした。叫びだけ並び、かつ最前列では止まって鑑賞できませんが、閉館直前は列も解除されていました。できれば金曜夜に行くのがいいかも。 pic.twitter.com/KaUBduoVcR— シナボン(冬眠準備) (@cinnabonapple) 2018年11月30日
ムンク展だん。入場・チケット購入の待ちはなく、コインロッカーの空きはないけれど「叫び」最前列も1、2分待ちで見られる程度の混雑でした。イメージしてた苦悩ダダ漏れな絵がやっぱり多かったけど、はっとするような美人画も。ブローチとか、マドンナとか。 pic.twitter.com/B2QgkuQlPw
— 青い衝撃 (@theblueinpact) 2018年11月30日
ムンク展の感想・口コミ・評判
ムンク展を実際に鑑賞した私の感想
今回のムンク展は、ムンクの作品のみがひたすら並ぶ「ムンク100%」の展覧会です。
ムンクの多くの自画像から始まり、家族との死別や精神の葛藤などが感じられる作品の数々の先にムンク展の目玉である『叫び』が展示されており、ムンクの描く不安の渦に圧倒されました。
精神を病み、病院に入院・退院したあとのムンクは、銃の暴発による指の怪我なども昇華させるような作品、色彩の明るい作品も多く手がけ、晩年にはナチスの進軍の影響か精気を失った自画像の後ろに針の無い時計を描いています。
『叫び』や『マドンナ』以外にもムンクが様々な作品を手がけていたこと、孤独な画家のイメージが強いムンクは実際にはパトロンや友人のネットワークに支えられていたこと、画家として成功したあともムンクは自分の精神状態を包み隠さず表現し続けたことなどが分かるとても内容の濃い展示で、私は大いに感激して帰ってきました。
ムンク展を鑑賞された皆様のSNS上の感想
東京都美術館「ムンク展」に行ってきた。色味がとても綺麗で人気に得心。ぬったりとした海が好きだ。天は少し厳しく、地と海は優しい(タナトス味含め)。 pic.twitter.com/HZf4bTAVal
— 大越千尋 (@yonakabukuro) 2018年12月1日
ムンク展。不穏な感じの有名な作品は実際見ると超オーラ出てて、見たら死ぬ系の呪いの絵みたいになってるの多かった。メインの叫びは、男も背景もぐにょーんって微妙にうねってる気がして絵に取り込まれそうな迫力があった。ムンクさん完全に病気だよ……
— 江西 (@enishidb2) 2018年11月30日
ムンク展行ってから1日経ったけど、まだあの実感が残ってる、凄かったなぁ。写真よりこの世界の在り方を正確に表現してると思った。と同時にそう思う自分は精神がちょいヤバいのか?と眺めながら不安にもなったw
けど、世界中の人が認めるんだから真理に近い作品なんだろう。— katonobo (@katonobo1) 2018年11月30日
「ムンク展」子供のころ姉と何も分からず、マドンナ綺麗〜ってキャッキャしてた懐かしい画家。改めて観るとところどころ絵の具が盛り上がってたり、タッチも色づかいも構図もかなり大胆。愛と死、不安と孤独、鬱々とした感情がうねり、抽象化された絵はやはり魅力的でした。 #art #東京都美術館 pic.twitter.com/Q18l1RbqJf
— ユーリ (@moritotaiyou) 2018年11月30日
ムンク展
表現主義には思念が満ちていて、相対すればどこか緊張してしまうのが常。だったけれど、彼は違った。
作品が発する感情エネルギーはたしかに強烈ではあるけれども、絵の具の乗せ方がかなりライトなおかげで巧みに調和されている。
どれも色使いが素晴らしかった どうにも魅入ってしまった pic.twitter.com/Q94YKvaPex— サモエドいぬ (@hikrrr) 2018年11月30日
『ムンク展―共鳴する魂の叫び』#東京都美術館 #ムンク展
「叫び」よりも、「男と女ー愛、嫉妬、別れ」章の作品群が良かった
ムンクは、思わず目を背けたくなるような暗くどす黒い感情を描くのが上手いね
絵はヘタウマなんだけど、凄みがあるhttps://t.co/rlXEQvqeG2 pic.twitter.com/kllPW69qG7— 旧式猫 (@StealCats) 2018年11月30日
ムンク展、見終わりました〜
「不安」「叫び」「絶望」が並んだ壁……いいなぁ。
ムンクというと「死」のイメージがありましたが、むしろ根源的なエネルギーを感じました。生命力の枯渇としての死ではなく、生命の連続の中の一相としての死、かな。— nightwalker(ダイエット中) (@takepooh666) 2018年11月30日
ムンク展 開催概要・チケット
ムンク展 開催概要
展覧会名:ムンク展―共鳴する魂の叫び
開催会場:東京都美術館
開催期間:2018年10月27日(土)~ 2019年1月20日(日)
開館時間:9時30分~17時30分
※金曜日、11月1日(木)、3日(土)は20時まで
※いずれも入場は閉館の30分前まで
休室日:月曜日、12月25日(火)、1月1日(火)、15日(火)
※ただし、11月26日(月)、12月10日(月)、24日(月・休)、1月14日(月・祝)は開室
※休館日が追加・変更になる場合あり
公式サイト:https://munch2018.jp/
他会場への巡回はありません。東京都美術館のみの展覧会です。
ムンク展チケット
チケット料金
前売券
一般:1,400円
大学・専門生:1,100円
高校生:600円
65歳以上:800円
前売り券は終了しました。
当日券
一般:1,600円
大学・専門生:1,300円
高校生:800円
65歳以上:1,000円
※中学生以下無料、高校生も12月は無料
一般以外のチケットで入場する方は証明できるものが必要です
チケット購入方法
ムンク展の前売券の購入は2018年10月26日まで。東京都美術館ミュージアムショップ、公式オンラインチケット、セブンチケット(セブンコード067‐467)、ローソンチケット(Lコード31676)、チケットぴあ(Pコード769-273)ほか主要プレイガイドが利用できます。
前売り券は終了しました。
当日券の購入には、東京都美術館チケット窓口、公式オンラインチケット、セブンチケット(セブンコード067‐467)、ローソンチケット(Lコード31676)、チケットぴあ(Pコード769-273)ほか主要プレイガイドが利用できます。
詳しくはムンク展公式サイトのチケット情報からご確認ください。
ムンク展公式サイト
チケット情報:https://munch2018.jp/ticket/
ムンク展・会場アクセス
東京都美術館
〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
ムンク展の近くで開催中の展覧会
2018年秋の上野は、いつもにも増して大型の展覧会が盛りだくさん。ムンク展と同時期にフェルメール展(上野の森美術館)やルーベンス展(国立西洋美術館)も開催されています。お時間に余裕がありましたら、他の美術館・博物館へもぜひどうぞ。
フェルメール展(上野の森美術館)
2018年10月5日(金)~2019年2月3日(日)
ルーベンス展(国立西洋美術館)
2018年10月16日(火)〜2019年1月20日(日)
マルセル・デュシャンと日本美術展(東京国立博物館)
2018年10月2日(火)~ 2018年12月9日(日
京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ展(東京国立博物館)
2018年10月2日(火)~ 2018年12月9日(日)
日本を変えた千の技術博(国立科学博物館)
2018年10月30日(火)~2019年3月3日(日)


