エドヴァルド・ムンクの生涯と作品解説

エドヴァルド・ムンクとはこんな人

エドヴァルド・ムンク Edvard Munch

エドヴァルド・ムンク『自画像』1895年 ムンク美術館エドヴァルド・ムンクは、橋の上で耳を押さえる男性が描かれた世界的に有名な絵画『叫び』などで知られる、世紀末芸術のなかでも象徴主義に分類されるノルウェー出身の画家です。ムンクの代表作には『叫び』のほか『マドンナ』『思春期』『生命のダンス』などがあります。ムンクの独創的な作品は、後のモダン・アートにも強い影響を与えました。

ムンクが生涯に手がけた作品の半数以上はノルウェーのオスロ市にあるムンク美術館に所蔵されています。

エドヴァルド・ムンクの生い立ち

家族の死をもとに描かれた『死と春』『病める子』

死や病が主題の『死と春』と『病める子』

エドヴァルド・ムンクは1863年ノルウェーで誕生。

医者であり熱狂的なキリスト教信者でもあったムンクの父は気難しい性格で、子供たちにも非常に厳しく当たりました。複雑で辛い家庭生活のなかで母と姉を早くに亡くし、自身の身体も弱く病気がちだったムンクは、結核や精神病の家系に生まれたと思い悩み、絵画作品のモティーフとなっていく病や死への不安抑圧された生活への葛藤を抱えて育ちます。

青年になったムンクはクリスティアニア・ボヘミアンと呼ばれる急進派の仲間と出会い、1889年からパリに留学。パリではロートレック、ゴッホ、ゴーギャンらの作風を基礎に、激しい表現による自身の画風を模索、後にムンクの代表作となっていく『生命のフリーズ』構想を思いつきます。

ムンク代表作『叫び』『思春期』『マドンナ』

ムンク代表作『叫び』『思春期』『マドンナ』

作品を発表するたびに批判を浴びたムンクでしたが、徐々に愛好者が増え、世間からも認められるようになっていくと、精神的な不安や葛藤を抱えたまま『叫び』『思春期』『マドンナ』など代表作となる作品を次々に発表、画家としてキャリアを積みました。

しかし、幼少期から生や死への不安を抱えたままだったムンクに事件が起きます。精神病の妹の入院で「自分も精神を病むのでは」という不安に陥ったり、医師であった弟の死に苦しむなど精神的に不安定になっていた矢先、恋人との別れ話のもつれから銃の暴発が起き、ムンクは左手指の一部を失う大怪我をしてしまったのです。この事件もきっかけの1つとなったのでしょうか、ムンクの精神不安は確定的なものとなり、神経症アルコール依存症のため入院することに。

オスロ大学講堂壁画

退院後に制作されたオスロ大学講堂の壁画。

退院したムンクは、自身の病気や回復の経験から作品の画風や主題に変化を見せるようになり、これまでとは違う、見たままの景色や人物、明るく健康的な作品なども手がけるようになりました。

晩年はこれまでの功績が認められノルウェーやフランスから勲章も受けたムンクでしたが、戦争が暗い影を落とした時代、ムンクの作品はナチスから退廃芸術といわれ美術館から撤去されるという仕打ちも。戦争が終わる前の1944年、ムンクは80歳で死去。ムンクが自身で所有していた作品はすべてオスロ市に遺贈されました。

エドヴァルド・ムンクのここがすごい

緊張・不安・絶望が渦巻く魂の叫び

ムンク『叫び』全バージョンムンクの『叫び』は恐怖や不安といった人間の内面を視覚化した傑作です。この世界的に有名なムンクの絵画『叫び』には、油彩画のほかパステル画、リトグラフ、テンペラ画で描かれたバージョン、全部で5作品が存在しています。

ムンク作『叫び』は『ムンクの叫び』と称されることが多いため、画面中央でムンクが叫んでいる絵だと誤解されがちですが、「自然を貫く叫びを聞いたムンク(もしくは特定の誰かではない男性)が耐えられず耳を押さえている」場面が描かれた作品です。ムンクは聴覚が過敏だったと言われており、『叫び』はフィヨルドでの自身の体験をベースに描かれています。

ムンク『叫び』のすごいところは、妖怪や幽霊、迫り来る殺人者といった見た目に恐ろしい登場人物が描かれているわけではないのに、画面から恐ろしさが溢れ出ているところ。うねるような背景のなかに恐怖や不安が増幅し、鑑賞者である私たちは悪夢のなかに飛び込んだような感覚を覚えます。

ムンク展の混雑状況・口コミ・評判・見どころは?
東京都美術館で開催されるムンク展。ムンクの代名詞テンペラ画『叫び』が日本で初公開されることでも話題です。ムンク作品の見どころ、展示作品、混雑予想・状況、口コミ・評判、チケット情報などをご紹介します。

めまぐるしく変化するムンクの自画像

ムンクの自画像母や姉の死を経験し、また自身も身体が弱く、不安定な幼少期を過ごしたムンク。画家になってからも、作品への批判、銃暴発による怪我、アルコール依存症、神経症など様々な苦難がムンクを襲いました。それらの出来事は確実にムンクの作品に影響を及ぼしています。

ただ、これらのエピソードから、ムンクを「苦悩の人」「叫びの画家」とひとくくりにするのは少々乱暴な話です。ムンクは自分以外の人間も言いようの無い不安に襲われることがあることなどを冷静に分析している面もありました。また、病院から退院した後は作品にも明るく穏やかな変化が感じられます。

そういったムンクの心の内の変化は、ムンクが残した自画像からも見ることができます。

子供への優しい目線が感じられる作品も

ムンクの描いた子供たち生や死、病、不安などと共に生きていたムンク。ムンクの描く作品には恐怖や不安が渦巻くシリアスな作品も多くありますが、明るい色彩で描かれた優しい目線の作品もまた多いのです。

友人の子供、疾走する馬、景色などを主題にした優しいタッチの作品、生命感溢れる作品などのほか、病院への入退院後には大学の講堂の壁画、チョコレート工場の食堂の装飾なども手がけました。

ムンク展2018(東京都美術館)

2018年秋、東京・上野にムンク展がやってきます。ムンクの作品の半数以上を所有するムンク美術館から、テンペラ画の『叫び』が初来日、史上最大級の話題のムンク展です。

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