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ティツィアーノの生涯と代表作・作品解説

ティツィアーノ・ヴェチェッリオとは?

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ Tiziano Vecellio

ティツィアーノ肖像画
ティツィアーノ・ヴェチェッリオは、盛期ルネサンスのなかでもヴェネツィア派を代表するイタリアの巨匠です。ティツィアーノは、宗教画、神話画、肖像画、風景画など、あらゆるジャンルの名画を残し、西洋美術史に多大な影響を及ぼしました。

ティツィアーノの代表作に『バッカスとアリアドネ』『ウルビーノのヴィーナス』『エウロペの略奪』『ダナエ』などがあります。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオの生涯

アルプス山麓の村に公証人の息子として生まれたティツィアーノは、10代でヴェネツィアのモザイク職人に弟子入りします。モザイク職人が自分に合わないと感じたティツィアーノは、ジェンティーレ・ベリーニ、その弟のジョヴァンニ・ヴェリーニと新しい師を求め続け、ジョヴァンニの工房で出会ったジョルジョーネと腕を競いながら技術を磨きました。

ヴェネツィア共和国御用達の公認画家となったティツィアーノは、政府や教皇、貴族たちからの注文を受けるようになり、31歳のときにラファエロが亡くなると、事実上イタリア最高の画家となります。その後40代に入るとカール5世やその息子フェリペ2世からも寵愛を受けるようになり、生涯に約500点という多くの作品を残しました。

デッサンへの着色ではなく絵具を塗り重ねて滑らかな肌を表現したティツィアーノ。色彩豊かでリアリティを追及したティツィアーノの作品は、後のルーベンスやレンブラントたちからもオマージュを捧げられています。

ティツィアーノが活躍した盛期ルネサンスとは

古代ギリシャ・ローマ美術を規範としたルネサンス美術。ルネサンス期を大きく分けると初期ルネサンス盛期ルネサンス期、盛期ルネサンスは更に構図やデッサンのフィレンツェ派、色彩のヴェネツィア派に分かれます。ティツィアーノは盛期ルネサンス・ヴェネツィア派の芸術家です。

ティツィアーノの特徴・作品鑑賞ポイント

ヴィーナスの名を借りて官能的な裸婦を描いたティツィアーノ

ウルビーノのヴィーナス

ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』は、ジョルジョーネの『眠れるヴィーナス』を基にした裸婦画。金髪や真珠といった娼婦をあらわすモティーフにヴィーナスのアトリビュートであるバラの花を持たせ、あくまでモデルはヴィーナスとしながらも、その官能的な目線や裸体は「ヌード」と表現するのがしっくりきます。ローマから離れていることで宗教的な縛りが緩く、また異国文化と共に華やかに栄えたヴェネツィアらしいエロティックな雰囲気の絵画です。

ティツィアーノの代表作・主要作品 Part.1

ティツィアーノ『田園の奏楽』

ティツィアーノ『田園の奏楽』

ティツィアーノ『田園の奏楽』は、ジョルジョーネ作か、またはティツィアーノとジョルジョーネの共作ではないかといわれていた作品。近年はティツィアーノの若年期の作品ではないかと考えられています。

作品名:田園の奏楽
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1510-1511年
種類:キャンバス、油彩
寸法:105cm×137cm
所有者:ルーヴル美術館(フランス)

ティツィアーノ『聖母被昇天』

ティツィアーノ『聖母被昇天』

ティツィアーノ『聖母被昇天』は、大胆な色彩と躍動感のある構図が荘厳な雰囲気を醸しだす祭壇画。天を仰ぐ使徒と聖母マリアがトライアングルとなり、その上には大きな円を描くように神や天使が配されています。聖母マリアが身体をひねっており、後のマニエリスムの雰囲気も感じられます。

イタリアの美術理論家ルドヴィゴ・ドルチェは、ティツィアーノの『聖母被昇天』を「ミケランジェロの壮大さと荘厳さがあり、ラファエロの目にも喜ばしい美、そして自然そのものの色彩がある」と評しました。

作品名:聖母被昇天
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1516-1517年
種類:板、油彩
寸法:690cm×360cm
所有者:サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂(ヴェネツィア)

ティツィアーノ『バッカスとアリアドネ』

ティツィアーノ『バッカスとアリアドネ』

ティツィアーノ『バッカスとアリアドネ』は、ギリシャ神話の物語を元にしたバッカス祭3連作の第2作目にあたる作品。

戦車から飛び降りる躍動感溢れるバッカスとバッカスの登場に驚くアリアドネ(左端)が描かれています。

作品名:バッカスとアリアドネ
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1520-1523年
種類:キャンバス、油彩
寸法:175cm×190cm
所有者:ナショナル・ギャラリー (イギリス・ロンドン)

ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』

ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』

ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』はジョルジョーネのヴィーナスをもとに完成させた絵画で、ティツィアーノの数多い作品のなかでもとても人気が高い作品です。

グイドバルド2世デッラ・ローヴェレが宮殿の夫婦の間のために依頼したといわれ、なまめかしいヌード表現のなかに情欲または夫婦のアレゴリーを示すものが散りばめられています。部屋の間仕切りや床が構図において効果的な役割をしている点にも注目です。

作品名:ウルビーノのヴィーナス
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1538年
種類:キャンバス、油彩
寸法:119cm×165cm
所有者:ウフィッツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)

ティツィアーノ『フローラ』

ティツィアーノ『フローラ』

ティツィアーノ『フローラ』は、ローマ神話の花と豊穣の女神フローラを題材にした作品。

はだけた胸元と丸みを帯びた白い身体、細部まで緻密に描かれた衣装が美しい絵画で、東京都美術館2017年企画展「ティツィアーノとヴェネツィア派展」のために来日したのも記憶に新しい作品です。

作品名:フローラ
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1515年
種類:キャンバス、油彩
寸法:79cm×63cm
所有者:ウフィッツィ美術館(イタリア・フィレンツェ)

ティツィアーノ『エウロペの略奪』

ティツィアーノ『エウロペの略奪』

ティツィアーノ『エウロペの略奪』は、ギリシャ神話・変身物語のゼウスとエウロペの恋のエピソードを題材にした作品。エウロペのなまめかしい肉感的な太もも、ねじれた身体からはマニエリスムを感じます。エウロペが角を掴んでいる牡牛は変身したゼウスです。

作品名:エウロペの略奪
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1559-1562年
種類:キャンバス、油彩
寸法:180cm×205cm
所有者:イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館(アメリカ・ボストン)

ティツィアーノ『カール5世騎馬像』

ティツィアーノ『カール5世騎馬像』

ティツィアーノ『カール5世騎馬像』は、神聖ローマ皇帝カール5世の肖像画。

スペイン王・ローマ皇帝としてヨーロッパ全土を巡ったカール5世は晩年通風などの病に苦しみ、自ら修道院に入りました。この作品はカール5世が最も堂々と活躍していた時代を思わせる作品となっています。

作品名:カール5世騎馬像
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1548年
種類:キャンバス、油彩
寸法:332cm×279cm
所有者:プラド美術館(スペイン・マドリード)

ティツィアーノ『ダナエ』

ティツィアーノ『ダナエ』

ティツィアーノ『ダナエ』

ティツィアーノはアルゴス王アクリシオスの娘であったダナエを題材にした作品を5点制作しており、これはそのうちの1点。色彩をミケランジェロが賞賛したとも言われる名画です。

東京都美術館2017年企画展「ティツィアーノとヴェネツィア派展」に『フローラ』と共に来日しました。

作品名:ダナエ
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1544-1546年
種類:キャンバス、油彩
寸法:120cm×172cm
所有者:カポディモンテ美術館(イタリア・ナポリ)

ティツィアーノ『ディアナとアクタイオン』

ティツィアーノ『ディアナとアクタイオン』1556年-1559年ロンドン・ナショナル・ギャラリー(スコットランド国立美術館と共同購入)
本作品『ディアナとアクタイオン』を含むサザーランド・コレクションを相続した第7代サザーランド公フランシス・ロナルド・エジャートンが、一部コレクションを売却するに伴い本作品『ディアナとアクタイオン』を国に購入するよう求め(国が購入しない場合はオークションに出品)、物議を醸しました。

最終的に、国やロンドンの国立美術館群、一般人からの寄付などで資金を集め、ロンドン・ナショナル・ギャラリーとスコットランド国立美術館が共同購入しています。

作品名:ディアナとアクタイオン
Title:Diana and Actaeon
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
Artist:Tiziano Vecellio
制作年:1556年-1559年
種類:油彩、キャンバス
寸法:184.5㎝×202.2㎝
所有者:ロンドン・ナショナル・ギャラリー(スコットランド国立美術館と共同購入)

ティツィアーノ『三世代の寓意』

ティツィアーノ『三世代の寓意』

ティツィアーノ『三世代の寓意』は、ティツィアーノ晩年の作品。

上部には3人の男性(うち一人はティツィアーノ本人)、下部には3頭の肉食獣が描かれています。

作品名:三世代の寓意
作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ
制作年:1565-1570年
種類:キャンバス、油彩
寸法:75.5cm×68.5cm
所有者:ナショナル・ギャラリー (イギリス・ロンドン)