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ラファエロ・サンティの生涯と代表作・絵画作品解説

ラファエロ・サンティとは?

ラファエロ・サンティ Raffaello Santi

ラファエロ・サンティは盛期ルネサンス・フィレンツェ派の画家です。ラファエロ・サンツィオとも。

レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロと並び、ルネサンスの三大巨匠と呼ばれるラファエロ・サンティは、先の革新者である2人とは異なり、様々な芸術家の技術や作風をインプットし、自分なりの表現としてアウトプットする術に長けたタイプ。宗教画や肖像画を得意とし、サン・ピエトロ大聖堂の主任建築家になるなど建築にも才能を発揮しました。

ラファエロ・サンティの絵画の代表作に『聖母子と幼き洗礼者ヨハネ』『アテネの学堂』『キリストの変容』『小椅子の聖母』などがあります。

ラファエロ・サンティの生涯

イタリアのウルビーノに生まれたラファエロ・サンティは、ウルビーノの宮廷画家だった父を11歳のときに亡くし、ペルジーノの工房で徒弟奉公を始めます。色彩感覚に優れたペルジーノの影響を多分に受けたラファエロは、17歳で親方の資格を得て独立。25歳で教皇ユリウスの招きでローマに移住すると、ヴァチカン宮殿内の居室装飾のチームリーダーを任されるなど、教皇庁の仕事をするようになりました。

大規模な工房を経営しながら多くの作品を制作し、時代の寵児となったラファエロでしたが、病に倒れ、37歳という若さでこの世を去りました。

ラファエロ・サンティが活躍した盛期ルネサンスとは

古代ギリシャ・ローマ美術を規範としたルネサンス美術。ルネサンス期を大きく分けると初期ルネサンス盛期ルネサンス期、盛期ルネサンスは更に構図やデッサンのフィレンツェ派、色彩のヴェネツィア派に分かれます。ラファエロ・サンティは盛期ルネサンス・フィレンツェ派の芸術家です。

16世紀始めのイタリアでは、ラファエロ・サンティのほかミケランジェロやダ・ヴィンチが活躍。彼ら3人はルネサンスの三大巨匠と呼ばれ、後世へ多大なる影響を及ぼすことになります。

ラファエロ絵画の特徴・作品鑑賞ポイント

巨匠のいいとこ全部どりのラファエロ

レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロの技術や表現手法を学び、それを自分の作品に取り入れたラファエロ・サンティ。「聖母の画家」とも呼ばれたラファエロは、柔らかく美しい女性や子供を多く描き、それらの作品には他の芸術家たちのエッセンスを多分に散りばめました。

ラファエロはアカデミーの規範

後に「ラファエロ前派」が登場するなど、ラファエロ・サンティは西洋美術史において非常に重要な位置にいる芸術家の一人であり、ラファエロ・サンティの作品はアカデミーの規範とされました。

ラファエロ・サンティ絵画の代表作・主要作品

ラファエロ・サンティ『キリストの磔刑』

作品名:キリストの磔刑
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1502-1503年
種類:油彩、板
寸法:283.3cm×167.3cm
所有者:ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ラファエロ・サンティ『大公の聖母』

絵画の所有者であったトスカーナ大公にちなみ『大公の聖母』と呼ばれるラファエロによる聖母子像の絵画。

元は背景が描かれていたことが検査で分かっており、黒く塗りつぶされた加筆部分の除去は現時点では困難であると判断されています。

作品名:大公の聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1505-1506年頃
種類:油彩、板
寸法:84cm×55cm
所有者:パラティーナ美術館

ラファエロ・サンティ『アンシデイの聖母』


『玉座の聖母子と洗礼者聖ヨハネ、バーリの聖ニコラウス』とも。玉座に座る聖母子の両脇にバーリの聖ニコラウスと洗礼者聖ヨハネが描かれた宗教画です。

『アンシデイの聖母』は、ラファエロ・サンティ絵画のなかでも特に高く評価されています。

作品名:アンシデイの聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1505-1507年
種類:油彩、板
寸法:216.8cm×147.6cm
所有者:ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ラファエロ・サンティ『ベルヴェデーレの聖母』

ラファエロ『ベルヴェデーレの聖母』は、聖母マリア、イエス、ヨハネを題材にした絵画。別名『牧場の聖母』とも。

牧歌的な背景に優しい表情の聖母マリアとマリアの赤い洋服が映えるます。ひざをつき十字架を支えているのがヨハネです。

作品名:ベルヴェデーレの聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1506年
種類:板、油彩
寸法:113cm×88cm
所有者:美術史美術館(オーストリア・ウィーン)

ラファエロ・サンティ『聖母子と幼き洗礼者ヨハネ』

ラファエロ『聖母子と幼き洗礼者ヨハネ』は、聖母マリア、イエス、ヨハネを題材にした絵画。別名『美しき女庭師』とも。

レオナルド・ダ・ヴィンチ『岩窟の聖母』のトライアングルな構図、ミケランジェロの肉体表現を参考にしたことが伺えます。

作品名:聖母子と幼き洗礼者ヨハネ(美しき女庭師)
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1507年
種類:板、油彩
寸法:122cm×80cm
所有者:ルーヴル美術館(フランス)

ラファエロ・サンティ『カーネーションの聖母』


幼いキリストをカーネーションを使ってあやす聖母を描いた宗教画。

カーネーションは「神の花」とも言われる花であり、窓の外の崩れた建物は異教の崩壊を表しています。聖母子の作風にレオナルド・ダ・ヴィンチが感じられる絵画となっています。

作品名:カーネーションの聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1506-1507年頃
種類:油彩、板
寸法:27.9cm×22.4cm
所有者:ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ラファエロ・サンティ『ロレートの聖母』

作品名:ロレートの聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1508-1509年頃
種類:油彩、板
寸法:120cm×90cm
所有者:コンデ美術館

ラファエロ・サンティ『アテネの学堂』

ラファエロ『アテネの学堂』は別名『アテナイの学堂』とも呼ばれるラファエロの代表作です。

ヴァチカン宮殿の署名の間を装飾する作品で、騙し絵になっている巨大なアーチの向こうには正確な遠近法で描かれた風景が続きます。作品正面にプラトン、右がアリストテレス、その手前に肘をついて腰掛けているのはヘラクレイトス、絵の右端から画面の外側を見つめるように視線を向けているのはラファエロ本人です。

作品名:アテネの学堂(アテナイの学堂)
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1509-1510年
種類:フレスコ
寸法:500cm×700cm
所有者:バチカン美術館

ラファエロ・サンティ『ユリウス2世の肖像』

作品名:ユリウス2世の肖像
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1511-1512年
種類:油彩、板
寸法:108.7cm×81cm
所有者:ロンドン・ナショナル・ギャラリー

ラファエロ・サンティ『青い冠の聖母』


ラファエロ・サンティとラファエロの弟子ジャンフランチェスコ・ペンニによる宗教画。『聖母子と幼き洗礼者聖ヨハネ』『ヴェールの聖母』とも。

作品名:青い冠の聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1511-1512年
種類:油彩、板
寸法:68cm×48cm
所有者:ルーヴル美術館

ラファエロ・サンティ『フォリーニョの聖母』

ラファエロ・サンティ『フォリーニョの聖母』

左側には洗礼者ヨハネと聖フランチェスコ、反対側には聖ヒエロニムスとシジスモンド・デ・コンティが描かれています。

作品名:フォリーニョの聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1512年
種類:板、油彩、現在はキャンバスに移植済
寸法:320cm×194cm
所有者:バチカン美術館

ラファエロ・サンティ『サンシストの聖母』

ラファエロ『サンシストの聖母』は、『システィーナの聖母』とも呼ばれます。左の男性はユリウス2世。聖母マリアはラファエロの理想の女性像でした。下からマリアを見上げる2人の天使はファミリーレストラン・サイゼリアの壁面装飾でもお馴染みですね。

作品名:サンシストの聖母(システィーナの聖母)
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1513-1514年
種類:キャンバス、油彩
寸法:265cm×196cm
所有者:アルテ・マイスター絵画館(ドイツ・ドレスデン)

ラファエロ・サンティ『小椅子の聖母』

ラファエロ『小椅子の聖母』はティツィアーノらの影響を感じさせる油彩画。

聖母マリア、キリスト、洗礼者聖ヨハネが描かれており、親子の愛情表現の豊かさから大変人気のある名画です。

作品名:小椅子の聖母
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1514年
種類:板、油彩
寸法:71cm×71cm
所有者:ピッティ宮殿パラティーナ美術館(イタリア・フィレンツェ)

ラファエロ・サンティ『キリストの変容』

ラファエロ『キリストの変容』は、ラファエロの集大成的な作品であり最後の大作。

中央上部がキリスト、下部で右手を上げているのは悪魔に取り憑かれた少年です。身体をひねる表現からはマニエリスムを感じます。

作品名:キリストの変容
作者:ラファエロ・サンティ
制作年:1518-1520年
種類:板、油彩
寸法:405cm×278cm
所有者:バチカン美術館

盛期ルネサンス芸術家リスト