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アルチンボルドの生涯と代表作・作品解説

ジュゼッペ・アルチンボルドとは?

ジュゼッペ・アルチンボルド Giuseppe Arcimboldo

アルチンボルド肖像画

ジュゼッペ・アルチンボルドは、たくさんの野菜や果物をパズルのように組み合わせた寄せ絵の肖像画で知られるマニエリスムの時代に活躍した画家です。

静物画としてのクオリティと奇異な肖像画という2つの面を持つアルチンボルドの作品は、20世紀シュルレアリストたちの注目を集めたこともあり、近年再評価されています。

アルチンボルドの代表作に『ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世』、連作『四季』『四大元素』などがあります。

アルチンボルドの生涯

ミラノの画家の息子として生まれたアルチンボルドは、父ビアージョから絵描きとしての手ほどきを受け、22歳のときに親子でミラノ大聖堂、その後はモンツァやコモの大聖堂で、ステンドグラスやタピスリーの制作などをこなしながら、実力を養いました。

35歳でオーストリア系ハプスブルク家の祖であるウィーンの神聖ローマ皇帝フェルディナント1世の宮廷へ。アルチンボルドの代名詞でもある花や野菜を人間の顔に見立てた寄せ絵の初期作品はこの頃描かれています。フェルディナント1世の死後は神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世の肖像画家となり、アルチンボルドはマクシミリアン2世の宮廷内にコレクションされている世界中の珍しい動物や植物に触れる機会を得ます。驚異の部屋と呼ばれる宮廷コレクションから得たインスピレーションはアルチンボルドの作品にも影響を与えました。この頃に描かれた『四季』連作はマクシミリアン2世からの依頼によるものです。アルチンボルドは生涯で3人の皇帝に仕えました。

アルチンボルドが活躍したマニエリスムとは

マニエリスムとは、イタリア盛期ルネサンスの終わりからバロックの間の時期に起こった美術様式。語源はイタリア語の「マニエラ(様式)」で、英語では繰り返しを表す「マンネリズム」を意味する言葉です。レオナルド・ダ・ヴィンチらルネサンスの巨匠の様式を手本とし誇張した表現からマニエリスムが生まれました。

マニエリスムは、不自然なほど大げさに引き伸ばされた身体、曲がりくねったポーズ、遠近法が狂った空間に漂う人々など、技巧を凝らした表現が多用されているのが特徴です。マニエリスムの画家としては激しい表現のエル・グレコ、寓意が散りばめられたブロンツィーノ、空中を漂うような群像を描いたポントルモらが挙げられます。

アルチンボルドの特徴・作品鑑賞ポイント

動植物を寄せ集めたアルチンボルドの肖像画

花々や野菜、木、魚、鳥などを器用に組み合わせて形作ってしまう天才、アルチンボルド。1点の作品に使用する植物やアイテムの種類は大変多く、たとえば『春』という作品には80点もの花・植物が描きこまれています。確かな観察力、写実力、想像力、アルチンボルドはすべてを持ち合わせた画家です。後にカラヴァッジオ(カラヴァッジョ)が果物かごの静物画を描きますが、静物画の元祖はアルチンボルドであったと言っても過言ではないでしょう。

野菜かごをひっくり返して逆さにすると庭師の顔に

アルチンボルドの作品には、ハプスブルク家の象徴的なアイテムや複雑な寓意が込められているため謎解きのような側面もありますが、作品をひっくり返して見ると肖像画になる仕掛けなど、たとえば絵に馴染みのない方やお子さんが見ても「面白い」「絵って楽しい」と感じる親しみやすさやインパクトがあります。

シュルレアリストに注目されるまで美術史ではあまり取り上げられることのないアルチンボルドでしたが、2017年には日本国内初となる大規模なアルチンボルドの回顧展「アルチンボルド展(国立西洋美術館)」も開催され、多くの話題を集めました。

ジュゼッペ・アルチンボルドの代表作・主要作品

アルチンボルド『司書』

アルチンボルド『司書』は、顔も身体も本でできている寄せ絵の肖像画。モデルは当時図書館を取り仕切っていた歴史学者ヴォルフガング・ラツィウスであるといわれています。アルチンボルド得意の寄せ絵ではありますが、他の作品の「アイテムを複雑に組み合わせた」ような技巧は見られず、とてもシンプルな構成です。

作品名:司書
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1566年
種類:キャンバス、油彩
寸法:97cm×71cm
所有者:スコークロステル城 (スウェーデン)

アルチンボルド連作『四大元素』

アルチンボルド『四大元素』 連作 -『大地』『水』『火』『大気』は、アルチンボルドが仕えていた神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世からの依頼で制作された肖像画の連作。2017年の国立西洋美術館アルチンボルド展には、『四大元素』連作4点が全て揃った形で来日しました。

アルチンボルド『大地』-連作『四大元素』より

アルチンボルド『大地』アルチンボルド『大地』は、象、鹿、狐、リスといった動物たちの寄せ絵になっており、ハプスブルク家の象徴であるライオンや羊の姿も見えます。

作品名:四大元素 連作 – 大地
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1566年
種類:キャンバス、油彩
寸法:70.2cm×48.7cm
所有者:個人蔵

アルチンボルド『水』-連作『四大元素』より

アルチンボルド『水』アルチンボルド『水』は、62種類もの魚、亀、貝、甲殻類が描きこまれています。なんだか生臭さが漂ってきそうですが、真珠のピアスやネックレスがチャーミングなポイントになっています。

作品名:四大元素 連作 – 大地
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1566年
種類:キャンバス、油彩
寸法:66.5cm×50.5cm
所有者:ウィーン美術史美術館(オーストリア)

アルチンボルド『火』-連作『四大元素』より

アルチンボルド『火』アルチンボルド『火』は、頭の上では炎が燃え盛り、火打ち石や火縄銃などが顔や身体を形作っています。

作品名:四大元素 連作 – 火
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1566年
種類:キャンバス、油彩
寸法:66.5cm×51cm
所有者:ウィーン美術史美術館(オーストリア)

アルチンボルド『大気』-連作『四大元素』より

アルチンボルド『大気』アルチンボルド『大気』は、鷲や孔雀はハプスブルク家の紋章に使われるなどゆかりの深い鳥です。

作品名:四大元素 連作 – 大気
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1566年
種類:キャンバス、油彩
寸法:74.4cm×56cm
所有者:個人蔵

アルチンボルド『法律家』

アルチンボルド『法律家』アルチンボルド『法律家』は、鶏肉や本、書類の寄せ絵で作られた法律家の肖像画。モデルは法律家のヨハン・ウルリヒ・ツァジウスであり、彼の顔には怪我の痕があったと言われています。丸鶏で作られた眉間に皺を寄せる機嫌の悪そうな顔、襟口から覗く無造作な書類の束、本がでっぷりとした体つきなど、アルチンボルドが法律家に対し悪意を持って描いているようにも見えます。

作品名:法律家
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1566年
種類:板、油彩
寸法:64cm×51cm
所有者:ナショナルミュージアム(スウェーデン)

アルチンボルド『コック』

アルチンボルド『コック』アルチンボルド『コック』は、上下どちらからも鑑賞できる肖像画。子豚や鶏の丸焼きが盛られた銀皿の絵を上下さかさまにひっくり返してみると、恐ろしい人相の男が振り向いているように見える騙し絵的な寄せ絵になっています。

作品名:コック
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1570年
種類:板、油彩
寸法:53cm×41cm
所有者:スウェーデン国立博物館

アルチンボルド連作『四季』

アルチンボルド『四季』 連作 -『春』『夏』『秋』『冬』は、アルチンボルドが仕えていた神聖ローマ皇帝マクシミリアン2世からの依頼で制作された寄せ絵肖像画の連作。人物の顔の向きは、この『四季』と上記『四大元素』で組み合わせが出来ており、『春』と『大気』、『夏』と『火』、『秋』と『大地』、『冬』と『水』の顔がそれぞれ向き合うように描かれています。花、果物、野菜、植物が複雑を複雑に組み合わせた発想は奇異なものながら、春は華やかで明るく、夏と秋は実り多く、冬は枯れた味わい深さと、その表現は万人に分かりやすいものとなっています。

『四季』はアルチンボルドが生涯何度か取り組んだ作品であり現存するバージョンは4つ。今回ご紹介しているバージョンは4点全てをルーヴル美術館が所蔵しており、2017年の国立西洋美術館アルチンボルド展には、このバージョンの『四季』連作4点が全て揃った形で来日しました。

アルチンボルド『春』-連作『四季』より

アルチンボルド『春』アルチンボルド『四季』連作『春』は、80点もの花々が描かれた春の喜びを感じる作品。

作品名:四季 連作 – 春
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1573年
種類:キャンバス、油彩
寸法:76cm×64cm
所有者:ルーヴル美術館(フランス)

アルチンボルド『夏』-連作『四季』より

アルチンボルド『夏』

NHK・Eテレで放送中の美術番組びじゅチューン!に取り上げられた作品。夏野菜たちが寄せ集めの顔とボディでファッションショーのランウェイを歩くという楽しいアニメに仕上がっています。

作品名:四季 連作 – 夏
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1573年
種類:キャンバス、油彩
寸法:76cm×63.5cm
所有者:ルーヴル美術館(フランス)

アルチンボルド『秋』-連作『四季』より

アルチンボルド『秋』

作品名:四季 連作 – 秋
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1573年
種類:キャンバス、油彩
寸法:76cm×64cm
所有者:ルーヴル美術館(フランス)

アルチンボルド『冬』-連作『四季』より

アルチンボルド『冬』アルチンボルド『四季』連作『冬』には、当時アルチンボルドが仕えていたハプスブルク家マクシミリアン2世を表すMの文字がマントに刻まれているのが見えます。

作品名:四季 連作 – 冬
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1573年
種類:キャンバス、油彩
寸法:76cm×63.5cm
所有者:ルーヴル美術館(フランス)

アルチンボルド『ソムリエ』

アルチンボルド『ソムリエ』ジュエッペ・アルチンボルド『ソムリエ』は別名『ウエイター』とも呼ばれる寄せ絵の肖像画。様々な大きさの樽、ワインのボトルやコルクで構成されており、ソムリエの右肩にある蓋のようなものにはハプスブルク家の紋章が刻印されているのが見えます。日本に所蔵されているアルチンボルドの作品は唯一この1点のみです。

作品名:ソムリエ
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1574年
種類:板、油彩
寸法:88cm×67cm
所有者:個人蔵

アルチンボルド『庭師』

アルチンボルド『庭師』ジュゼッペ・アルチンボルド『庭師』は、上下どちらからも鑑賞できる庭師をモデルにした肖像画。たまねぎや大根などが山盛りに積まれた野菜かごを上下さかさまにひっくり返してみると、髭の生えたユーモラスな庭師に見える騙し絵的な寄せ絵になっています。

作品名:庭師
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1590年
種類:板、油彩
寸法:35cm×24cm
所有者:クレモナ市立美術館(イタリア)

アルチンボルド『四季』

アルチンボルド『四季』アルチンボルド『四季』は、1枚の絵に四季を詰め込んだ寄せ絵の肖像画。女性の顔からは枝の切り口がゴツゴツと飛び出ており、耳にはさくらんぼのイヤリングが飾られています。

作品名:四季
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1590年
種類:板、油彩
寸法:44.7cm×60.4cm
所有者:ナショナルギャラリー・オブ・アート(アメリカ)

アルチンボルド『ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世』

アルチンボルド『ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世』アルチンボルド『ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世』は、ミラノに戻ったアルチンボルドがルドルフ2世に送った肖像画。アルチンボルドの最高傑作と呼ばれる作品で、世界中の珍しいものを集めた稀代のコレクター・ルドルフ2世はこの作品をとても喜び、アルチンボルドに貴族の地位を与えたといわれます。

この作品は、2018年の渋谷Bunkamuraザ・ミュージアム『神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展』に展示されました(福岡市博物館および佐川美術館も巡回)。

作品名:ウェルトゥムヌスに扮するルドルフ2世
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1590-1591年
種類:板、油彩
寸法:70cm×58cm
所有者:スコークロステル城(スウェーデン)

アルチンボルド『フローラ』

アルチンボルド『フローラ』アルチンボルド『フローラ』は、女性を花と植物で埋め尽くされた寄せ絵で表現した肖像画。アルチンボルドは『フローラ』と名の付く作品を生涯に何点か制作しており、これはそのうちの1点です。

作品名:フローラ
作者:ジュゼッペ・アルチンボルド
制作年:1591年
種類:板、油彩
寸法:73cm×56cm
所有者:個人所蔵(フランス・パリ)