ピエール・ボナールの生涯と作品解説

ピエール・ボナールとはこんな人

ピエール・ボナール Pierre Bonnard

ピエール・ボナール肖像画ピエール・ボナールは、19世紀後半~20世紀前半に活躍したナビ派フランス人画家。浮世絵や日本画の影響を強く受けたボナールは「日本かぶれのナビ」とも称されました。

愛妻が入浴する姿を何点も描いたことで知られており、ポスター制作のデザイナーや版画家としても多くの実績を残しています。

ピエール・ボナールの生い立ち

1867年、フランスのフォントネー=オー=ローズで誕生したピエールボナール。父が陸軍省の局長であったボナールは、夏には別荘で過ごすなどフランスの典型的なブルジョワ家庭の次男として育ちました。大学は法学部へ進学、夜間はアカデミー・ジュリアンという画塾で絵の勉強をします。ボナールがナビ派に所属したのは、この画塾でポール・セリュジェやモーリス・ドニと出会ったことがきっかけです。※ナビ派については後述

ボナールが制作したシャンパンのポスター

ボナールが制作したシャンパンのポスター

22歳で国立美術学校に入学したボナールは、シャンパンのポスター公募展で優勝し注目を浴びます。この頃のボナールは画家というより、ポスターや版画制作などを手がけるデザイナーとしての仕事が主でした。

39歳以降のボナールは画廊と契約を結び、安定した収入を得ながら絵画の制作を続けます。

ボナールの代名詞ともいえる浴室の裸婦画は、ボナールの妻マルトをモデルに描いたものです。ボナールは26歳のときに出会ったマルトと長く事実婚を通しており、正式に結婚したのはボナール57歳のときでした。マルトが亡くなったあともマルトの絵を描き続けたボナールは、マルトが亡くなった5年後に79歳で亡くなっています。

ボナールが属したナビ派とは

ナビ派とは、パリを中心に活動していた学生たちが作った前衛派グループのこと。「ナビ」とはヘブライ語の「預言者」のことで、ナビ派ではゴーギャンのことを指します。ゴーギャンに同調し、ゴーギャンの色彩理論の影響を強く受けている美術様式です。

ポール・セリュジエのタリスマン(護符)

ポール・セリュジエのタリスマン(護符)

ナビ派の始まりは1888年。ポン・タヴェン村でゴーギャンと出会ったポール・セリュジエが、ゴーギャンの助言を受けて制作した1枚の風景画がきっかけでした。パリに戻ったセリュジエは、ボナールら友人の学生たちにその風景画を見せ、作品にタリスマン(護符)という名前をつけナビ派の象徴とします。

ナビ派の作品の技法に共通性はありませんが、伝統的なフランス絵画と比較すると、輪郭線や色彩などが見たままよりも装飾され、平面的でデザイン的な要素があるのが特徴です。

ナビ派の活動はキリスト教に根ざし、超自然的なものに対する情熱を持ったメンバーが多くいましたが、ボナールはこれらには全く興味がなく、日常的な主題の作品を制作することに没頭していました。

ナビ派の芸術家には、ボナールのほか、ポール・セリュジエ、モーリス・ドニなどがいます。

ボナールらナビ派の活動や作品は、その後のフォーヴィズムやキュビズムにも影響を与えました。

ピエール・ボナールのここがすごい

日本かぶれのナビと呼ばれたボナール

ピエール・ボナール日本かぶれのナビ日本の浮世絵や日本美術に強い影響を受けたピエール・ボナールは、パーツを画面に配置するような平面的な構図や装飾性を持った作品を制作しました。『庭園の女たち』の縦長4枚に分割して描かれた女性たちの着想ベースは日本の屏風絵です。

何気ない日常を優しく表現するのがボナール流

何気ない日常を優しく表現するのがボナール流何に対してものんびりマイペースだったと言われるボナールは、作品を制作するのも非常にスローペースで、ひとつの作品に何年もかけて色を塗り足すことがあったと言われています。

そんなのんびり屋のボナールは、フランスの風景や食卓など、何気ない当たり前の日常を主題とした作品を多数残しており、それらの色彩はボナールの人柄を表すかのような優しい雰囲気に包まれているのが特徴です。

しばしば印象派と比較して語られ、またフォーヴィスムやキュビスムへと時代が移り変わっていくなかで批判的な評価も受けたボナールでしたが、ボナールはマイペースな自分流を貫き、妻マルトとの日常の一コマを描き続けました。

お風呂大好きボナールの妻マルト

ボナールが何年も描き続けた妻マルトの姿浴室の裸婦を描く画家といえば、真っ先に浮かぶのはボナールとドガではないでしょうか。

ボナールの妻マルトは日に何度も入浴する習慣があり、ボナールは入浴する妻の姿を観察し、記憶に留めて絵画を制作しました。8種類の色を塗り重ねるというボナールの手法により、マルトの身体は浴槽のお湯の中でゆらいでいるように見えます。

1900年以降のボナールの作品はどれも明るい色彩に変化し、妻マルトも明るい陽射しのなかで入浴する姿で描かれるようになります。ボナールは、妻マルトが年老いても、自分の記憶のなかの若かりし姿でマルトを描き続けており、キャンバスのなかのマルトはどの作品でも若いままです。

ボナールは妻マルトが亡くなったあとにもマルトの絵を描き続けました。

ボナールが描く犬猫の可愛らしさ

ボナールが描く犬猫の可愛らしさ浴室や寝室の裸婦画のイメージが強いボナールですが、犬や猫など動物が登場する作品も制作しています。どの動物もとても可愛らしい姿でキャンバスに登場しており、そのポワポワとした毛並みや表情などからは、ボナールの動物に対する優しい目線や愛情が感じられます。

ピエール・ボナール展 国立新美術館

2018年9月26日より開催のピエール・ボナール展(六本木・国立新美術館)に、国内外のボナール作品が一挙集結。世界で最も多くのボナール作品を所蔵するオルセー美術館からの出品作品には、今回が日本初公開となる作品30点が含まれています。

ピエール・ボナール展の混雑状況・口コミ・評判・見どころは?
六本木・国立新美術館で開催中のピエール・ボナール展。日本初公開となるナビ派のボナール作品がオルセー美術館から30点も来日しているボナール大回顧展の見どころ、展示作品、混雑予想・状況、口コミ・評判、チケット情報などをご紹介します。

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