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『石割り人夫(石割る人)』ギュスターヴ・クールベの作品解説

ギュスターヴ・クールベ『石割り人夫(石割る人)』作品解説

ギュスターヴ・クールベ『石割り人夫』1849年焼失

ギュスターヴ・クールベ『石割り人夫』1849年焼失

『石割り人夫(石割る人)』は、ギュスターヴ・クールベが1849年に制作し、第二次世界大戦中の1945年にドレスデン近郊にて爆撃を受け焼失した作品です。

道端で黙々と石を砕く人夫たちの姿が徹底した写実主義により描き出されています。

『石割り人夫』に描かれている人物

着衣からも貧しさが見て取れる『石割り人夫』

着衣からも貧しさが見て取れる『石割り人夫』

モデルとなっている石割り人夫は、クールベが実際に働いている2人の男を見つけ、アトリエでモデルになってほしいと依頼したものと言われています(道端で出会った人物をスケッチしたという説も)。

人夫たちは顔を画面の向こう側に向けており表情を伺い知ることができませんが、1人はこの重労働をこなすのは厳しいであろうお年寄りで、もう1人は人夫として働くには随分幼い若者です。

ベストやシャツは着古して穴だらけ、ズボンはツンツルテンで、彼らが着るものに構う余裕のない最下層の労働者だということがわかります。

バルビゾン派や他の画家作品との違い

石割り人夫2人の年齢のコントラストは象徴的であり、貧しい身なりで、ただひたすらに黙々と目の前の終わりが見えない仕事に取り組んでいる労働者の描写には、たとえばミレーの作品のような働く姿への尊さや感傷は微塵も感じられません。リアリストなクールベの代表作にふさわしい作品です。

センセーショナルだった『石割り人夫』の発表

クールベの故郷であるオルナンなどで厳しい労働環境におかれている人々の姿をありのまま写実的に描いたクールベは、本作『石割り人夫』で労働の悲惨な現実を強調しました。

『石割り人夫』は労働者を等身大の大画面に描き出しており、それは歴史画や王侯貴族の肖像画のような所謂”立派な作品”と労働者を同列に扱うという意味にも取れます。

画面の大きさも相まってすさまじい迫力で迫る労働者の生々しい姿は、パリの都会人に強烈なインパクトを残し、大変な物議を醸しました。

クールベの作品は、社会主義者の著述家や知識人らから支持され、これは当局のクールベに対する警戒感を強めるきっかけともなったのです。

『石割り人夫』作品情報

作品名:石割り人夫(あるいは石割る人)
Title:The Stone Breakers
作者:ギュスターヴ・クールベ
Artist:Gustave Courbet
制作年:1849年
種類:油彩、キャンバス
寸法:165 cm×257 cm
所有者:第二次世界大戦中、爆撃により焼失

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