アンドレア・マンテーニャとは?
アンドレア・マンテーニャ Andrea Mantegna
アンドレア・マンテーニャは、初期ルネサンスを代表するイタリア人の画家。初期ルネサンス期のなかでもマンテーニャはパドヴァ派に分類されます。
前縮法など遠近感にこだわったアンドレア・マンテーニャの代表作に『死せるキリスト』『オリーブ山の祈り』『カーメラ・デッリ・スポージ』があります。
アンドレア・マンテーニャの生涯
マンテーニャはパドヴァ近郊に生まれ、10歳で画家スクワルチョーネの養子になり、スクワルチョーネの工房で働きました。スクワルチョーネと折り合いの悪かったマンテーニャは17歳で独立、すると途端に才能を発揮し、みるみる売れっ子になります。
スクワルチョーネのライバルであったベリーニの娘と結婚し、マントヴァのゴンザーガ家に宮廷画家として招き入れられたマンテーニャは、その後の生涯をマントヴァで過ごしました。某ファミリーレストランの室内装飾でもよく見かける『カーメラ・デッリ・スポージの天井画』は、ルドヴィコ・ゴンザーガ2世所有の城内に描かれた作品です。
マンテーニャの特徴・作品鑑賞ポイント
遠近法や前縮法で奥行き感を表現したマンテーニャ
遠近法や前縮法によって世の中を驚かせたマンテーニャ。『ヴェローナのサン・ゼーノ祭壇画』や『オリーブ山の祈り』などでは巧みな遠近法を用い、作品の奥行き感を表現しました。彫刻家としても高い実力を有したマンテーニャの人物描画には、『聖セバスティアヌス』など彫刻を思わせる立体表現が感じられます。
ミラノにあるブレラ絵画館所蔵の『死せるキリスト』には極端とも言える前縮法が用いられていますが、マンテーニャの遠近感の表現は、当時とても画期的なものでした。
マンテーニャの代表作・主要作品
マンテーニャ『オリーブ山の祈り』
アンドレア・マンテーニャ『オリーブ山の祈り』は、曲がりくねった道が画面を横切る対角線上の遠近法が大胆なテンペラ画。オリーブ山の祈りは別名ゲツセマネの祈りとも呼ばれ、磔刑の前日に神に祈るイエスとその弟子たちが描かれています。
作品名:オリーブ山の祈り
作者:アンドレア・マンテーニャ
制作年:1455年
種類:テンペラ
寸法:63cm×80cm
所有者:ロンドン・ナショナルギャラリー(イギリス)
マンテーニャ『キリストの磔刑図』
アンドレア・マンテーニャ『キリストの磔刑図』は、ヴェローナのサン・ゼーノ祭壇画のためのテンペラ画。キリストや罪人の肉体、人々の嘆き悲しむ様子が生々しく緻密に描かれ、遠くに描かれた山や街が遠近感を際立たせています。
作品名:キリストの磔刑図
作者:アンドレア・マンテーニャ
制作年:1457-1460年
種類:テンペラ
寸法:76cm×96cm
所有者:ルーヴル美術館(フランス)
マンテーニャ『カーメラ・デッリ・スポージ』
アンドレア・マンテーニャ『カーメラ・デッリ・スポージ』は、マンテーニャのパトロンであったルドヴィコ・ゴンザーガ2世(ゴンザーガ家)所有の城にある結婚の間の天井画。遠近法を生かし、城内にいながら空が見えるよう錯覚するような「だまし絵」表現が特徴です。ファミリーレストランの室内装飾で見かけることもあり、美術に詳しくない方にも広く知られています。
作品名:カーメラ・デッリ・スポージ
作者:アンドレア・マンテーニャ
制作年:1463-1474年
所有者:ドゥカーレ宮殿(イタリア・マントヴァ)
マンテーニャ『聖セバスティアヌス』
アンドレア・マンテーニャ『聖セバスティアヌス』は、パトロンであったルドヴィコ・ゴンザーガ2世の死後に描かれたテンペラ画。ルドヴィゴの子供の婚姻を記念して描かれたと考えられます。下から見上げるように描かれた聖セバスティアヌスの身体や奥に見える建物などは彫刻家としても実力が高かったマンテーニャらしく、遠近感を生かした壮大な構図です。
作品名:聖セバスティアヌス
作者:アンドレア・マンテーニャ
制作年:1480年頃
種類:テンペラ
寸法:255cm×140cm
所有者:ルーヴル美術館(フランス)
マンテーニャ『死せるキリスト』
アンドレア・マンテーニャ『死せるキリスト』は、マンテーニャの死後、画家のアトリエから見つかったテンペラ画。前縮法により横たわるキリストの身体は極端に短く描かれ、足を大きく描くことで遠近感を表現しているのが特徴的です。死せるキリストの表情のほか、手足や脇腹にある聖痕もすべて描かれています。
作品名:死せるキリスト
作者:アンドレア・マンテーニャ
制作年:1470-1474年頃
種類:テンペラ
寸法:68cm×81cm
所有者:ブレラ絵画館(イタリア・ミラノ)
