初期ルネサンスより前

初期キリスト教美術とビザンティン美術

投稿日:2017年9月10日 更新日:

初期キリスト教美術の特徴

313年にローマ帝国のコンスタティヌス帝がキリスト教を公認する以前よりキリスト教美術は存在していました。キリスト教が迫害されていた時代には、信者はこっそりと集まり、地下に墓地を作っており、これがカタコンベ(地下墓地)と呼ばれるものです。

この時代は若きキリストをモティーフにした「善き羊飼い」が彫刻・絵画が・モザイクなどのテーマによく用いられていました。
絵画ではキリストを皇帝のように威厳をもって描くのが主流でした。

初期キリスト教美術の代表作品

善き牧者

『善き牧者』

モデルはローマ神話に登場する神メルクリウス。善き牧者とはイエス・キリストを指し、羊を信者のシンボルとすることもあります。牧者と羊、子羊を背負う若者などの形で表現されることが多く。キリストの象徴として描かれた作品多数が多数存在します。

製作年:300頃
所蔵先:ヴァティカン美術館

サンタ・マリア・マッジョーレ教会

『サンタ・マリア・マッジョーレ教会』

ローマにあるカトリック教会の聖堂。教皇が建築させたローマの四大バシリカ(古代ローマ様式の聖堂)の一つです。

カタコンベ

『カタコンベ』

地下墓地のこと。キリスト教が公認される以前、キリスト教徒が受難にされた時代に集会の場として使用されていました。モノグラム(暗号)が使われているのが特徴的です。

製作年:3世紀中頃

ガッラ・プラチディア廟堂

『ガッラ・プラチディア廟堂』Mausoleo di Galla Placidia

中央に祈りの場が設けられた集中式プラン。313年にミラノ寛容令でキリスト教が公認された以後は、大規模な教会堂が次々造営されていきます。文字が読めない信者のために壁面には聖書の諸場面がモザイクで描かれています。

製作年:440年頃頃
所在地:イタリア・ラヴェンナ

サンタ・サビーナ聖堂

『サンタ・サビーナ聖堂』

Basilica di Santa Sabina all’Aventino

長方形の空間を柱の列で仕切り奥に祈りの場所を設けているバシリカ式プラン。
313年にミラノ寛容令でキリスト教が公認された以後は、大規模な教会堂が次々造営されていきました。こちらも文字が読めない信者のために壁面には聖書の諸場面がモザイクで描かれています。

製作年:422-432頃
所在地:イタリア・ローマ

ビザンティン美術の特徴

宗教と深く関わっているビザンティン美術

ビザンティン美術は、ローマ帝国分裂から都市がトルコに占領され東ローマ帝国が終演を迎えるまでの間の美術を指し、ビザンツ美術とも呼ばれます。

バシリカ式と集中式を融合させた教会堂を建築し、ビザンティン建築の最高傑作といわれるアヤ・ソフィア大聖堂(世界遺産)はこの時代の建造物です。

ビザンティン美術前期にはモザイク、中期にはフレスコ画が中心となりました。

イコンとイコノクラスム

この時代は、イコンという礼拝用の聖人画が崇拝されており、その後イコノクラスムという偶像を破壊する運動が巻き起こります。

ビザンティン美術は宗教美術としての表現法を厳しく統制しており、人物の向き、持ち物や服装などは様式化(ビザンティン様式)されていました。

8~9世紀半ばに起こったイコノクラスムで、宗教美術は一旦衰退することとなります。偶像崇拝が認められるようになっても、宗教画の表現規制は続き、ビザンティン美術中期頃までは画家は服のシワなどで自分らしい表現を行うことが精一杯だったようです。

ビザンティン美術後期に入ると、キリストの死に嘆くマリアなど、それまで無表情だった宗教画に表情が現れます。画家の自由な表現が認められる時代に入ってゆくのでした。

ビザンティン美術の代表作

ユスティニアヌス帝と廷臣たち

『ユスティニアヌス帝と廷臣たち』

ビザンティン前期のサン・ヴィターレ聖堂のモザイク。中央がユスティニアヌス帝です。人物は全員正面を向いており、周囲に施された模様も含め平面的・左右対称の構図になったビザンティン様式の代表作となっており、ユスティニアヌスの左手には聖パンを置く皿が表現されています。

製作年:547年
所在地:イタリア・ラヴェンナ

アヤ(ハギア)・ソフィア大聖堂

『アヤ(ハギア)・ソフィア大聖堂』

製作年:537年
所在地:トルコ・イスタンブール

バシリカ式と集中式を融合させた構造の教会。現在は博物館になっており、イスタンブール歴史地域として世界遺産に登録されています。

ウラディミールの聖母

『ウラディミールの聖母』

礼拝時に使用する聖人画であるイコンの代表作。子の未来・運命を予知したかのようなマリアの表情が特徴的です。ビザンティン美術前期にはイコン崇拝が高まっていました。

製作年:12-13世紀
所有者:トレチャコフ美術館(モスクワ)


アンドレイ・ルブリョフ『聖三位一体』

アンドレイ・ルブリョフ『聖三位一体』

ラハムを訪ねた三天使を描いた板絵のイコン。至聖三者とも呼ばれ、三位一体を表しています。

作者:アンドレイ・ルブリョフ
製作年:15世紀初頃
所有者:トレチャコフ美術館(モスクワ)


弟子たちの足を洗うキリスト

『弟子たちの足を洗うキリスト』

ビザンティン中期、オシオス・ルーカス修道院のフレスコ画。オシオス・ルーカス修道院は「ギリシャのビザンティン世界遺産群」として世界遺産登録されています。

製作年:11世紀前半


『聖母の嘆き(哀悼)』セルヴィア

『聖母の嘆き(哀悼)』セルヴィア

ビザンティン後期、ネレズィ聖パンテレイモン修道院のフレスコ画。キリストを亡くしたマリアが嘆き悲しむ様子が強く表現されています。

製作年:1164年
所在地:セルヴィア


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